2023 Fiscal Year Annual Research Report
人本主義管理会計の理論的・実証的研究ー日本と中国を比較してー
Project/Area Number |
19K02028
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
水野 一郎 関西大学, 商学部, 教授 (70174034)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 人本主義管理会計 / 日本的経営 / 付加価値会計 / さくら住宅 / 東海バネ工業 / 渋沢栄一 / CSV / ハイアール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本と中国の人本主義企業を比較研究し、人間尊重と家族主義に基づく人本主義経営に立脚した人本主義管理会計の構想を提案し、確立させるための理論的・実証的基礎を提示することであった。人本主義企業についてのこれまでの研究を踏まえて、人本主義経営を支えている管理会計システムの特徴と構造を明らかにすることも重要な課題としてきた。その際、日本生産性本部を中心とする生産性運動の果たしてきた役割を探究することや道徳経済合一説を主張した渋沢栄一の経営思想と事蹟を研究することも本研究の独自性となっている。 2023年度の本研究の研究実績としては、2022年度に続き、人間尊重と家族主義に基づく人本主義経営を進めている企業のインタビューを含む調査研究を進めてきたことである。これまでの研究で人本主義経営は大企業よりも優れた経営を展開している中小企業で実践されていることがわかってきた。インタビュー調査を実施してきた中小企業は、横浜市のさくら住宅(2023年4月27日)、、北九州市のヤナイ(9月13日)東海バネ工業豊岡工場(10月4日)、鹿児島市のラグーナ出版(11月24日)、名古屋市の生方製作所(2024年2月13日)、広島市のオタフクソース(2月15日)、名古屋市のキリックス(3月30日)である。このうちさくら住宅と東海バネ工業については論文に纏め、公表している。 ただ本研究にとって残念なことは、2023年度も中国を訪問することができなかったことである。新型コロナの影響が2023年の前半まで続き、その後も研究者の拘留やビザ発給の制限などもあって中国の研究者との研究交流を深めることができなかった。中国の人本主義企業としてハイアールの経営に注目してきたが、本社がある青島を訪問することができず、中国海洋大学の徐国君教授、合肥工業大学の朱衛東教授をはじめ、メールでの交流しかできなかった。
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