2023 Fiscal Year Research-status Report
大規模広域災害に備えるためのNPOの実績評価と今後の展望
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19K02035
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
泉 貴子 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (00790354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Shaw Rajib 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 教授 (30378848)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | NPO / NGO / Disaster risk reduction / Capacity development / Compound hazards / COVID-19 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本で発生した大規模災害(西日本豪雨、熊本地震、東日本大震災)におけるNPO/NGOの活動について比較調査を行っている。これまで各地で主に災害後に活動したNPO/NGOにインタビューを実施したが、ほぼすべての機関が財政問題に直面し、活動内容を変更もしくは停止するなどに追い込まれている。災害対応の経験や実績をもっている機関が存続できないことは今後、日本で発生する可能性がある大規模災害時の対応にも課題が残る。さらに、コロナ禍で発生した自然災害と感染症対策をいかに両立していくかが非常に大きな問題となり、あらゆる国がその対応に苦慮していたことがわかっている。この点は、コロナ禍で発生した熊本豪雨の際にも、対応・復興の際に大きな課題となった。こうした課題を克服するために、地元の企業やNPOが協力・連携し、これまでとは異なる新たな支援の形態を確立し、実施した事例もあった。また、最近はクラウドファンディングなどの活用から、ボランティアのみならず地元の若者たちが支援をプログラム化して、財政的支援を集めるといった事例も見られた。こうした新たな事例は、論文にまとめ、国際ジャーナル(International Journal of Environmental Research and Public Health) でも発表することができた。NPO/NGOが直面している様々な課題をいかに克服すべきか、現在は特にアジア地域など海外で活躍するNGOやNGOネットワーク等の経験も含めた調査を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020-2021年のコロナ禍においては、被災地を視察したり、対面でインタビューをすることが困難だったため、データ収集に時間を要した。そのため、予定していたとおりに事例を比較し、論文にする作業が予定と比べてまだ十分ではないが、2024年度が最後の年となるので、早急に論文にまとめて発表したいと考えいている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは、西日本豪雨、熊本地震、東日本大震災の後に活動していたNPO/NGOを中心に調査を行ってきたが、今後は海外の事例から日本のNPO/NGOが今後どのように発展していくかを検討する予定である。そのために、アジアで活躍している主にNPOやローカルNGOのネットワークにインタビューもしくはアンケート調査を実施することを考えている。また、最近の台湾で発生した地震では、その規模にかかわらず被害が最小限にとどめられ、対応が非常に迅速であったことがわかっている。そのため、この地震の際に活動したNPO/NGOにもインタビュー調査を実施し、彼らの経験等からも学べることを抽出したいと考えている。
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Causes of Carryover |
当初予定していた被災地の視察が2020‐2021年の新型コロナ感染症の影響にて実施することができず、状況が落ち着いた後に被災地視察を再開した。今後は、論文投稿費用や海外調査の旅費等として使用する予定である。
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