2022 Fiscal Year Research-status Report
日本と南太平洋を結ぶ南アジア系ディアスポラの社会学的研究
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19K02038
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
福田 友子 千葉大学, 大学院国際学術研究院, 准教授 (40584850)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 社会学 / 移民研究 / 中古車 / 中古部品 / 南アジア / パキスタン / アフガニスタン / スリランカ |
Outline of Annual Research Achievements |
4年目(2022年度)は、新型コロナウイルス感染も収束し始め、海外での学会報告・現地調査を1件実施することができた。国内調査も、地理的に範囲を広げた。文献調査や資料収集を進めると共に、過去に収集した調査データの整理・分析を進めた。オンライン開催の学会、研究会、シンポジウムも多く、効率的に最新の研究動向を把握することができた。 2022年度に取り組んだテーマは以下の通りである。第1に、韓国で開催された国際学会に対面参加し、研究報告をした。併せて現地調査を行った。今後も韓国での調査研究を実施する予定であり、その予備的調査として十分なデータを得た。第2に、千葉における南・西南アジア系移民に関する調査である。千葉、山武、四街道、佐倉、市川、木更津を訪問調査した。このテーマの情報収集は、本務校の共同研究組織の活動や教育実践とも連動している。またJICAとの研究協力も進めた。さらに年度中盤には、他の研究委託を受けることも決まった。第3に、南アジア系移民を中心とするイスラームの宗教活動に関する調査研究である。千葉以外では、6月に愛知、7月に大阪・兵庫、3月に北海道、栃木のモスクを訪問調査した。現地調査の一部は、在日ムスリムの保健医療に関する共同研究チームへの参加であった。関連する研究会やシンポジウムにも参加し、有益な情報を得た。第4に、中国系移民の集住地域に関する調査である。9月に横浜中華街を学生と共に訪問調査した。移民の集積/分散に関する比較研究と位置付けている。第5に、関東における在日コリアンの社会史に関する調査である。6月に現地調査を実施した。このテーマの情報収集は、本務校の教育実践と連動しており、調査報告書を取りまとめる作業を継続中である。日本におけるエスニック・ビジネスの先駆者、かつディアスポラ研究の比較研究対象と位置付けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内の現地調査を多数実施できたこともあり、研究は順調に進展していると言えよう。また本務校の共同研究組織のみならず、他の共同研究チームや、JICAをはじめとする外部機関との研究協力が進んだことで、進捗が加速した。海外調査は韓国の1件のみだったが、久々に海外在住の研究者とネットワークをつくることができ、多くの知見を得た。特に日本と韓国の南アジア系移民企業家のビジネスネットワークのつながりを裏付けるデータが得られたことは、重要な成果だった。本研究課題の主要な舞台である南太平洋や南アジアの海外調査は実現しなかったが、国内調査を多数実施できたことから、総合的に見て順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画では、2年目(2020年度)は南太平洋での現地調査、3年目(2021年度)は南アジアでの現地調査、4年目(2022年度)は追加調査と研究総括を予定していた。しかしながら、新型コロナウィルス感染拡大の影響で、海外調査が不可能となっため、研究計画を変更し、2-4年目は国内調査、文献調査、資料収集を進めた。結果的に、研究期間を5年目以降も延長することとなった。5年目(2023年度)は、国内調査を継続するとともに、南太平洋と南アジアの現地調査を実施したいと考えている。またアメリカ・カナダの調査協力者が、調査受入を承諾してくれたので、アメリカ・カナダの現地調査を追加実施する計画がある。さらに過去に収集した調査データの整理・分析を進め、国際学会で研究報告を行うことを予定している。
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Causes of Carryover |
本研究課題では、旅費が支出の大部分を占める計画だったが、4年目(2022年度)は海外出張は1件しか実施できず、かつそれも他の予算からの支出だったため、残額が生じた。研究期間を5年目まで延長したので、次年度以降に繰越額を使用する。5年目(2023年度)は、海外出張を複数回実施するので、その旅費に充てることを予定している。また、旅費以外の項目での支出、たとえば研究補佐員や調査員の雇用や英文校閲費といった謝金に充てることも計画している。
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Research Products
(7 results)