2021 Fiscal Year Research-status Report
「辺境」と「郊外」の原爆被災――被爆後・戦後長崎の都市社会学的研究
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19K02042
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山口 響 長崎大学, 核兵器廃絶研究センター, 客員研究員 (80828707)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 長崎 / 浦上 / 原爆 / 都市空間 / 郊外 |
Outline of Annual Research Achievements |
資料収集に関しては、コロナ禍の中で出張することが長期にわたって困難であったため、国立国会図書館への1回の訪問で資料収集を行うにとどまった。同館プランゲ文庫からは、占領下の長崎市近辺で発行された雑誌・新聞記事等を、連合国最高司令官総司令部(GHQ/SCAP)文書からは、米占領軍の長崎軍政府作成の資料を、それぞれ収集し、以後、読み込みを進めている。また、長崎県立長崎図書館郷土課では、地元発行新聞(長崎日日、長崎民友、夕刊長崎タイムズ等)記事の収集を休館前の期間に可能な限り行った。さらに、戦前から占領期に至る長崎での三菱の役割を把握するために、『原爆前後』を読み進めている段階である。
対外的な成果としては、三菱財団人文科学研究からの助成(研究代表者:木永勝也・長崎総合科学大学准教授)も得て刊行した、長崎原爆の戦後史をのこす会編『原爆後の75年――長崎の記憶と記録をたどる』(書肆九十九、2021年)において、占領期の長崎市民の生活(特に浦上における生活)についての聞き取りを行い、数名の聞き書きを残すことができた。これらの記録は、ひとつの一次史料として本科研の今後の研究にも活用しうる。
また、「原爆と地図」『地図情報』41巻1号(2021年)において、原爆投下直後の1945年末に政府が作成した被害地図では、放射線被曝ではなく「空爆」による焼失が被害認識の中心となっていたことを確認した。こうした被害認識がその後数年の都市復興においてどのような意味合いを持ったのかを調べることが今後のひとつの課題となろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの感染拡大のため、2021年度の出張を伴う資料収集は国立国会図書館へのわずか3日間の訪問にとどまった。また、長崎県立長崎図書館郷土課が建て替えに伴って長期休館となったため、この間の資料収集が行えなかった。他方で、可能な限り、国立国会図書館からの遠隔複写利用による資料収集に努めた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、国立国会図書館における資料収集にあたる。コロナ禍の状況にも大きく左右されるが、米国立公文書館など米国での資料収集も行いたい。これらの資料を基に論文執筆に移行する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大のために、東京や米国で予定していた資料調査が行えなかったため、2022年度に繰り越して使用する。
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Research Products
(3 results)