2021 Fiscal Year Research-status Report
震災被災地の「日常の再構築」過程における意識調査:地域社会の分断・格差に着目して
Project/Area Number |
19K02043
|
Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
堀篭 義裕 岩手県立大学, 総合政策学部, 准教授 (00305335)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 晃士 山形大学, 人文社会科学部, 教授 (50305314)
茅野 恒秀 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (70583540)
金澤 悠介 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (60572196)
平井 勇介 岩手県立大学, 総合政策学部, 准教授 (60757524)
鈴木 伸生 岩手県立大学, 総合政策学部, 講師 (30827241)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 震災復興 / 復興過程 / 社会調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間3年目の本年度は、2011年12月以来の大船渡市民を対象とした復興に関する一連の意識調査の最終回となる「第4次横断調査」の実施と、質的調査の継続実施を計画していた。この計画に対する研究成果は次の通りである。 「第4次横断調査」については、2021年12月に大船渡市民1,500人を対象として郵送により実施した(有効回収票696、有効回収率46.4%)。調査票では過去3回の調査との共通設問に加え、10年間の復興の総括について尋ねる設問も設定し、大船渡市の復興計画終了時点における生活再建の現状に関する基礎データを収集した。この調査の本格的な分析は次年度となるものの、年度末時点でデータを概観した限りでは、居住地区の復興状況の評価について、震災時の被害が少なかった地区において、被害が多かった地区よりも否定的傾向がより強く見られた。この結果は、復興事業の主要な対象となった被害が多かった地区と、そうでない地区との間での復興事業終了段階における分断・格差の一端を示すものと考えられる。 一方、質的調査の本年度の目標は、昨年に続き、大船渡市大船渡町、末崎町、猪川町、三陸町吉浜また釜石市唐丹町の事例から、①商店街の問題、②災害公営住宅団地のコミュニティ形成の問題、③災害リスクへの対処方法(防潮堤・高台移転の問題)について報告書をまとめることであった。しかしながら、新型コロナウィルス感染拡大により聞取り調査ができず、内容を深めたり、詳細な事実確認をしたりする作業が進められなかったため、報告書の完成は次年度以降となった。 なお、研究の進捗管理については、オンラインによる打ち合わせを随時開催し、情報共有をはかった。研究成果については、前年度に実施した第5回パネル調査の結果速報の公表のほか、研究論文2本、学会報告5件の発表を行い、研究の総括を行う上で基礎となる研究を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
量的調査については計画通りに「第4次横断調査」を実施することができた。質的調査については、「5.研究実績の概要」で書いたとおり、新型コロナウィルス感染拡大のため現地調査がうまく進められず、当初の予定よりも遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
量的調査については、これまでの調査データの分析の総括を行う。質的調査については、新型コロナウィルス感染症対策に配慮を行うながら可能な範囲で現地調査等を実施する。 また、量的調査の総括と質的調査の総括をもとに総合的な議論を行った上で、研究成果を数理社会学会誌『理論と方法』特集号(2022年9月発行予定)に論文として掲載する方針である。なお、当該特集論文に更なる加筆修正を加え、2023年度に図書を刊行予定である。
|
Causes of Carryover |
年度内の刊行を予定していた「第5回パネル調査報告書」「第4次横断調査結果速報」の2種類の報告書類の作成ができなかったことに加え、新型コロナウィルス感染拡大に伴い、質的調査を計画通りに実施できなかったため。
|
Research Products
(8 results)