2019 Fiscal Year Research-status Report
ライフコースを通じた女性の就業キャリアの経路・変動の向きと家事労働
Project/Area Number |
19K02044
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
不破 麻紀子 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (40451877)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 家事労働 / ライフコース / 就業キャリア / 変化の方向性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ライフコース上の就業キャリアの変動を通じて、家事労働負担のジェンダー格差はどのように変化していくのか、またどのような就業経路・要因が格差を縮小させうるのかを研究課題として検討を行っている。そのために、2007年から10年以上にわたり個人を追跡するパネル調査データを用いて、ライフイベント・ライフコースを通した女性の就業の状況・経路・変動の向きと家事労働分担との関連を、Allison (2019)の変化の方向性を区別した固定効果モデル等を用いて分析する。また、国際比較データ(ISSP 2012年)を用いて、各国の就業環境や政策などが、女性の就業キャリアの経路と家事・育児分担の関連にどのように媒介するかを検討する。 2019年度は、使用するデータの基礎的分析及び探索的分析による分析結果を学会・学術雑誌等で報告を行った。具体的には、ライフイベント(離別)と家事労働との関連を検討した論文(柳下・不破2019)を執筆し、『家族社会学研究』に掲載された。また職場のワーク・ライフ・バランス環境とパートナー関係を検討した論文を執筆した(不破2020)。分析手法に関しては、独立変数の変化の方向性を区別する固定効果モデルを、就業状況の変化と家事頻度の関連を例に検討した。結果は第 68 回数理社会学会大会(柳下・不破 2019年8月)で報告した他、論文(柳下・不破 2019『東京大学社会科学研究所パネル調査プロジェクトディスカッションペーパーシリーズ』)を執筆した。また,ISSPデータを用いて、子育て期の就業中断と女性の家事負担の関連を検討した分析はアメリカ社会学会大会(Fuwa 2019年8月)にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は使用するデータの基礎的分析及び探索的分析を行うことができ、おおむね順調に進展しているといえる。2019年度は、査読付き論文1件、分担執筆1件、ディスカッションぺーパー1件、国際学会報告1件、国内学会報告1件の成果を上げることができた。また、学会報告等では他の研究者から助言を得ることができ、研究をより発展させることができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、データや分析手法の検討について計画以上に進めることができたが、昨年度はこれらに重点を置いて研究を進めたため、先行研究の知見の検討は計画よりやや遅れている。このため、まず2020年度は先行研究のレビューについても積極的に進めていきたいと考えている。また、昨年度行った探索的分析をより発展させて、国際学会及び国内学会にて報告する予定である。2020年度の後半以降では、学会研究会等での助言を得て、来年度に予定されている査読付き学術論文雑誌(国際・国内雑誌)に投稿する論文のための分析にとりかかる予定である。
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Causes of Carryover |
2019年度は国際学会と国内学会での報告を行ったが、旅費支出を計画よりも大幅に抑えることができた。また、先行研究の知見の検討が若干遅れているため、文献・資料等の購入費が予定よりも少なかった。2020年度は当初の文献・資料の購入を予定している。また、複数の国際学会、国内学会において報告を予定しているため、繰り越し分を使用する予定である。
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