2023 Fiscal Year Annual Research Report
ライフコースを通じた女性の就業キャリアの経路・変動の向きと家事労働
Project/Area Number |
19K02044
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
不破 麻紀子 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (40451877)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ジェンダー / 就業キャリア / 経路・変動 / 家事労働 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ライフコース上の就業キャリアの変動を通じて、家事労働負担のジェンダー格差がどのように変化していくのか、またどのような要因が格差を拡大・縮小させうるのかを、特に女性の就業キャリアに着目して検討を行っている。そのために、東京大学社会科学研究所が2007年~2023年の16年間にわたり実施しているパネル調査データを用いて、女性の就業の状況・経路・変動の向きと家事労働分担との関連を分析している。また、コロナ禍といった大きな社会的イベントの縦断的な影響をとらえるため、男性の家事参加が増加したとされるコロナ禍前後の家事労働の変動に着目した分析を行った。2000年代から2010年代(2007年~2019年)における日本の男女の家事労働の長期的変動に着目した検討も行っている。さらに、国際比較調査データを用いて、日本・アメリカ・スウェーデンの3カ国を比較する分析等も行った。 2023年度は、分析結果を国内外の学会大会や学術雑誌等で報告した。まず、パネル調査データを用いてコロナ禍前後における家事労働の変動について検討した。結果から,コロナ禍1年目で男女ともに家事頻度が増加したが,2年目では男性のみ減少し,男性の家事の増加傾向は持続していないことが示された.また、家事頻度の変動を長期的に観測した結果からは、コロナ禍前後の年を除いては、近年においても家事頻度に大きな変化が見られないことが示唆された。結果をまとめた学術論文は査読付き学会誌にて出版した。また、本研究で用いたデータの質問紙におけるキャリーオーバー効果の検討する分析を行い、数理社会学会大会(2023年8月)で発表した。加えて、女性自営業者の家事労働・睡眠・余暇との関連を検討する研究報告(2023年8月アメリカ社会学会大会/2023年10月日本社会学会大会)を行った。
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