2020 Fiscal Year Research-status Report
少人数で就業する職種の労働環境と職能団体の機能に関する研究
Project/Area Number |
19K02045
|
Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
吉村 臨兵 福井県立大学, 看護福祉学部, 教授 (50274949)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 多佳子 福井県立大学, 看護福祉学部, 助教 (00440941)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | オンライン会議 / 会員への声明 / 研修 / 求人情報 / 担い手 / アイデンティティ |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目にあたる今年度の主な展開としては、有資格者が多様化し増加している医療・福祉分野を主な対象とした「従事者の課題 × 事業所の種類 × 少人数職種 × 職能団体等 × 取り組み」の組み合わせ事例を積極的に蓄積するということが、前年度の想定だった。しかしながら、コロナ禍による各種規制や懸念によって、福井県外への出張を伴う調査そのものの進展は見通しのつきにくいことが明らかになった。そこで、今年度は、まずソーシャルワークにかかわる県内の3つの職能団体に対して、インタビュー調査を実施した。その聴取内容は、2020年初頭からのコロナ禍のもとにおける、会員向けの情報発信、事業や業務の中止等の状況、および会員からの相談の有無などについてである。 これらのインタビュー調査の意義は、第1に、特殊な状況下における「従事者の課題 × 職能団体 × 取り組み」の事例が蓄積できたことである。また、第2に、こうした限定的な問いによって、各職能団体の近年の問題意識とのつながりがかえって明確になった。というのも、一般的な活動状況に関わる質問をした場合には、多岐にわたる課題や取り組みについての回答が絞られづらく、情報量も多くなるのに対して、コロナ禍という進行中の状況にかかわる具体的な対応事例からの連想として、職能団体としての近年の主な問題意識への言及を数多く聞くことができたからである。 こうして、今年度に蓄積された情報は、調査対象の拡大にむけて参照しやすい布石となっている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度中に獲得することを想定していた職能団体にかかわる具体的な知見が、ようやく端緒的な量と質となっているにすぎない。これは、福井県外への移動はおろか、県内においても、対象となる職能団体の多くが医療または福祉に関連する分野のものであるため、対面によるインタビュー調査が相互の感染予防上非常に困難なためである。
|
Strategy for Future Research Activity |
想定している面接調査の対象である職能団体の多くが保健、医療、福祉関係のものである一方で、変異した新型コロナウイルスの蔓延が繰り返されることも予想されるため、相手先の業務の忙しさや感染防止対策の厳しさに鑑みて、安易な調査の依頼はひきつづき慎むべき状況にある。したがって、その繁忙度などをみきわめ、オンライン面接を取り入れながら、支障の少ない相手先について「従事者の課題 × 事業所の種類 × 少人数職種 × 職能団体等 × 取り組み」の組み合わせ事例の収集を進める。 団体による逐次刊行物の蓄積については、2020年度同様、その対象範囲と件数を拡大して継続することを通じて、面接調査によらない情報収集を2021年度中にできるだけ進める。 これらを、2022年度の調査対象へのアンケート調査の際に、有効に活用する。
|
Causes of Carryover |
主な理由として、職能団体への面接調査が県内3団体にとどまったことが挙げられる。これは、前年度同様、コロナウイルス感染症の防止の観点から、訪問による調査の実施を翌年度に延期したために旅費が大幅に未執行になったことによる。来年度もオンラインによる面接等を中心に進めざるをえないが、当初予定の研究計画と比較してなおも進捗の遅れが予想される場合、感染症の収束後に実施すべき調査を洗い出すなど年度後半に改めて計画を再考する。
|