2022 Fiscal Year Research-status Report
少人数で就業する職種の労働環境と職能団体の機能に関する研究
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19K02045
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
吉村 臨兵 愛知学院大学, 経済学部, 教授 (50274949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 多佳子 福井県立大学, 看護福祉学部, 助教 (00440941)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 組織化 / 制度的確立 / 労働者供給 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初計画においては、福井県内の職能団体への予備調査をふまえて全国的または県外の団体への調査を実施し、また、従事者へアンケート調査を行ってゆく予定だったが、コロナ禍の感染の波が断続したため、医療・福祉関連の職能団体への調査は中断し、文献情報の収集に比重を置いた。 すなわち、前年度までに、特殊な状況下における「従事者の課題 × 職能団体 × 取り組み」の事例を蓄積できたのを踏まえて、以下のいくつかの領域の情報を収集した。 第1に、比較対象として当初計画で想定していた労働組合による労働者供給事業の事例については、つぎのとおりである。すなわち、今日まで継続して行われているいくつかの団体の取り組みは、労働者供給契約として具体化されている点では明確であるが、従事者の課題との関連性は文献だけでは意外にわからないところも多い。たとえば、制度面で歴史がありながらも社会的にその事例があまり拡大していないことにみられるように、肝心の従事者からみて労働者供給事業の認知度そのものが低いように推察されるといったことである。こうしたことから次年度の調査の必要性が明らかになった。 第2に、医療ソーシャルワーカーの制度的確立過程に関わる資料の集成を通じて、各医療機関での医療ソーシャルワーカーの組織化に関する歩みを概観した。本研究において「従事者の課題 × 職能団体 × 取り組み」の事例を蓄積する際の観点は、どうしても現代のものが主になるが、その課題や取り組みの度合いがどのような経過をたどってきたかという貴重な背景知識となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
職能団体にかかわる具体的な調査知見が、なおも福井県内のものに限られており、比較対象の取材にも着手できなかった。これは、まず第1に、数年来、福井県内外の移動はおろか、県内においても、対象となる職能団体の多くが医療または福祉に関連する分野のものであるため、インタビュー調査が相互の感染予防上困難だったことによる。また第2に、研究代表者の所属がかわり、代表者と分担者の間での日程調整が滞りがちだったことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度前半には、中間的なまとめを行って視点を明確化する。これを活用して、オンライン面接も積極的に取り入れて調査事例をさらに蓄積する。あわせて「従事者の課題 × 事業所の種類 × 少人数職種 × 職能団体等 × 取り組み」の組み合わせ事例の収集を、比較対象の団体も含めて進め、アンケートの実施の見通しを立てる。
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Causes of Carryover |
主な理由は、2021年度までの場合と概ね類似するが、コロナウイルス感染症の防止の観点から、訪問による調査の実施を見合わせたことによる。この面接調査のための旅費は、次年度においては対象を拡大するほか、研究代表者の移籍によって分担者との打ち合わせに旅費が引き続き必要となる見込である。取材対象範囲やアンケート調査の規模を有効かつ適正なものに設計することで、充実した成果が出ることをめざす。
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