2021 Fiscal Year Research-status Report
地域社会における歴史意識の現状と今日的課題―「郷土史」の危機と重層性の研究―
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19K02049
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Research Institution | Tokyo International University |
Principal Investigator |
高田 知和 東京国際大学, 人間社会学部, 教授 (70236230)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地域史 / 郷土史 / 地域史誌 / 字誌 / 歴史意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、申請者がこれまで検討してきた「字誌」あるいは「大字誌」と呼ばれる地域史誌が全国的に小さな範域を主体にしてつくられてきたことを踏まえたうえで、そうした地域社会における歴史意識の現状と今日的課題について、考えていくものである。全国のさまざまな地点のうち、具体的に幾つかの地域を取り上げて調査をすることで、検討課題を明らかにしていこうと考えていたものである。 ところが、他の研究者たちも同様であろうが、covid-19のために具体的な調査行がこの一年を通じて出来ないこととなった(実質的には二年間)。したがって、本研究の推進には著しく制限が掛けられることとなってしまった。そのため、本来なら2021年度で終了になるところを、一年間延長申請した次第である。 また、2020年度末に開かれた研究会で本研究に即した研究報告をした際に、討論等をつうじて浮き彫りになった課題があった。それは具体的な歴史実践ということに関わって来る問題であった。そこで2021年度は、実際に各地に調査行をしにくくなった現状を踏まえ、新たに浮き彫りになった課題にもこたえていくため、諸文献を集め、各地の事例を集めて検討していくことにつとめた。また、これまで集めてきた資料等の整理にも力を入れ、改めてそうした成果を読み返していく作業に集中した。 それらの研究成果が公になるのは、2021年度ではなくて2022年度にずれ込むこととなったが、「郷土史」の危機と重層性の観点から成果をまとめつつあるのが現状である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究の進捗状況が「遅れている」のは、ひとえにcovid-19のためである。 本研究の根幹は、研究申請時にも設定した、全国の幾つかの地域へ直接出掛けて調査等を行なってくるところにあった。それがこの二年間は公共交通機関を通じての移動に著しい制限が加えられ(社会的かつ心情的に)、そのため実際の調査行が出来なくなってしまっているからである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針としては、次の二つを考えている。 まず一つは、言うまでもなく、covid-19の感染者増加が見られるものの、社会全体で従来の全き自粛から感染予防しながらの社会活動へと思潮がシフトしてきているので、様子を見ながら調査行を再開していくことである。ただこれは、調査であるから地方在住の調査対象者の存在が必要であるため、そうした人たちとの連携、話し合いを通じて敢行していきたい。東京在住の研究者である当方の勝手で出掛けていくことは厳に慎んで、対話をしつつ調査に出掛けていくことを考えている。 今一つは、文献を通じてまとめられる点をまとめていく作業である。これについては「研究実績の概要」欄にも書いたように現在既に取り掛かっていることであるが、これをさらに本格的に展開していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、これまでも書いてきたようにひとえにcovid-19のために調査に行けなかったことが大きい。とにかく現地へ出かけて聞き取りを始めとした調査をしてくることが根幹であった本研究においては、当初の研究費申請もそれを念頭においてしているので、これができなかったら次年度使用額が生じることも不思議ではないと思われる。 今後の使用計画も、これまでに書いたように、covid-19の感染への注意と、地方在住の調査対象者との話し合いのうえで調査に出掛けていくことで消化したいと考えている。
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Research Products
(3 results)