2021 Fiscal Year Research-status Report
フランス共和国における「ジプシー」の市民権に関する研究:リベラル・モデルの例外化
Project/Area Number |
19K02051
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
中野 裕二 駒澤大学, 法学部, 教授 (10253387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
左地 亮子 (野呂) 東洋大学, 社会学部, 准教授 (50771416)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フランス / ジプシー / ロマ / 共和主義 / シティズンシップ / 身分登録 / 移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、20世紀初頭からリベラルな市民権に立脚する法制度の整備と並行して、そのモデルから「ジプシー」を例外化する4つの法制度を制定してきたフランスにリベラル・ナショナリズムの原型を見て、「ジプシー」例外化の正当化の理由とこの法制度がフランス社会で受け入れられていった過程を明らかにする。 検討項目は、4つの法制度を素材として、A.立法過程の検討による「ジプシー」例外化の理由の解明、B.制度面・運用面での「ジプシー」の権利制限の実態解明、C.聞き取り調査等による法制度の解釈・実行・受容の実態解明である。本研究は、A.~C.を解明することで、リベラルな市民権モデルへの収斂の中の排外主義の興隆と定着の理由を明らかにするとともに、市民権回復の可能性と課題を提示することを目的とする。 2020年度に続き、2021年度も新型コロナウイルス感染症の影響で、研究者全員がフランスでの現地調査を予定通り実施することはできなかった。研究代表者が、資料収集と現地での調査可能性の確認のためフランスを訪問した。図書館・資料館等のなかには、一般の立ち入りを禁止しているところや、予告なしに閉館日になるところもあり調査に支障はあるものの、現地調査の再開に目処をつけることができた。また、現地調査を行わなかった者は、過去に収集した民族誌的資料やマイノリティの政治にかかわる文献の分析を進めた。それにより、本研究課題にかかわる具体的な成果の1つとして、人類学関連学会で2つの口頭発表を行ったほか、フランス市民社会と「ジプシー」との関係を身体の政治という視点から探る論文を『文化人類学』に投稿することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響による勤務校の海外出張の禁止もしくは渡航自粛要請によって、現地調査が十分にできなかったからである。そのため、過去に収集した資料の分析にとどまらざるを得なかったところもある。現地調査の再開の目処は立ったものの、移譲の理由により「遅れている」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度が予定していた研究期間の最終年度であったが、研究の進捗状況に鑑み、研究期間の延長を申請し許可された。2022年度はコロナ禍での現地調査の再開に目処が立ったことから、感染対策を講じつつ現地調査を実施する。また、過去に収集した資料に基づき、研究成果の公表に努める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で現地調査のための海外出張ができなかった研究者がいたためである。 2022年度は、現地調査のための海外出張を行うことで研究費を使用する予定である。また、ジプシー/ロマおよび関連団体への聞き取りには、現地コーディネーターが必要となる。そのため、コーディネーターへの謝金としても研究費を使用する予定である。
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