2019 Fiscal Year Research-status Report
Subscription Video On Demand in Japan and East Asia: its impact on national and transnational production and distribution of media contents
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19K02055
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
大山 真司 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (00778946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TSE YUKEI 国際基督教大学, 教養学部, 特任助教 (60828408)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 動画配信サービス / メディア研究 / 文化研究 / デジタル文化研究 / メディア産業研究 / Netflix / 東アジアのメディア / マスコミ研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は動画配信サービスに関するメディア研究の主要文献を購入してレビューを行い、現在の理論研究、実証研究の動向を把握。同時に国際学会の開催や、共同出版に向けて主導的研究者との関係構築を開始した。また5月には代表研究者が中国北京のデジタルストリーミング文化に関する学会で、また7月には分担研究者が日本のカルチュラルスタディーズ学会で報告を行った。こうした基礎的な作業を経て、2019年12月14‐15日の二日間にわたり、国際ワークショップ「Subscription Video on Demand in East Asia」が立命館大学衣笠キャンパスで開催された。この分野に関連する最新の研究成果である著書『Netflix Nations』を発表したばかりのRamon Lobato氏、そして、Netflix Japan立ち上げに関わりアニメ・コンテンツを担当されたJulian Lai-Hung氏(BlockPunk)を基調講演に迎え、海外から集まった10名以上の登壇者とともに、動画配信サービス研究の理論的動向や、各国での状況の報告に関する議論を重ねた。
2019年度は理論的動向の把握と、アジアでの実証研究のレビュー、一次データの収集が出来た。研究成果の報告も日本、中国で行い、また12月の国際ワークショップでは理論とアジアでの展開に関して十分な議論が深められた。加えて国際的なネットワークを構築し、またイベントの告知を通じてこの分野の研究者のコミュニティーの間で、本研究プロジェクトの認知度を向上させることに成功した。2019年度の目的は十分に達成できたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の前半は、動画配信サービスに関するメディア研究の主要文献をリスト化し、理論研究、実証研究を行っている代表的な研究者との関係構築を開始した。こうした準備を踏まえて、2019年12月14‐15日の二日間にわたり、国際ワークショップ「Subscription Video on Demand in East Asia」が立命館大学衣笠キャンパスで開催された。この分野に関連する最新の研究成果である著書『Netflix Nations』を発表したばかりのRamon Lobato氏、そして、Netflix Japanでアニメ・コンテンツを担当したJulian Lai-Hung氏(BlockPunk)を基調講演に迎えた。加えて台湾、中国、韓国、フィリピン、インドネシアというアジア諸国からの10名以上から報告があった。Netflixに代表されるSVODのグローバル展開と並行して、日本や韓国、台湾、そして中国など、アジアの諸地域の固有性に根ざしたローカリゼーションの状況に関する報告が行われた。議論の中では単にアメリカ発のサービスの受容の実態ではなく、アルゴリズムやデータに駆動される創造性の新たなかたちや、無数にあるタイトルをカタログ化したインターフェイスの諸相、SVODの各サービスがこぞって標榜する「オリジナル」概念の問い直し、さらには従来型の(ケーブル)テレビとの競合やその変貌に関する調査分析へと深化させられた。現在のメディア生態系を支えるインターネットの帯域幅やVPNを含めたアクセス手法など、これらを可能にする物質的なインフラストラクチャーも議論の焦点となった。オンライン型映像配信という新たなメディアの生態系を試金石として、これが現時点における研究手法の問い直しを迫ると同時に、その新たな方法論を模索する場所ともなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は理論的枠組みの構築と日本、台湾のデータ収集に加えて、各国の主導的な研究者との関係構築を目的とした国際ワークショップを開催した。
2020年度は日本、台湾に加え、韓国と中国のデータ収集に加えて、より東アジアに焦点をあてた国際ワークショップの開催を予定していた。しかし新型コロナウィルスの感染拡大によって、海外での調査研究、海外研究者の招聘などは困難であることが予想される。したがって二次資料の収集・分析とともに、オンライン会議ソフトなどを使用した国際会議の準備を進めたい。また年度後半には国内の動画配信サービス企業への聞き取りも進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響で1-3月に予定していた海外調査が行えなかったため。2020年度後半は放送の同時録画を行う機材の購入、図書資料収集に加えて、オフラインの研究会の実施を行いたい。
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Research Products
(8 results)