2019 Fiscal Year Research-status Report
シカゴ学派社会学における観察する/観察される女性:女性によるモノグラフの分析から
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19K02058
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
酒井 千絵 関西大学, 社会学部, 教授 (30510680)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 社会学方法論 / ジェンダー / フィールドワーク / 労働 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、以前から収集してきたシカゴ大学のコレクションからの資料を整理し、論点になり得る問題を検討した。また、1920年代から30年代にかけてのシカゴ大学から出版されたフィールドワーク資料を再読し、当時のシカゴ社会学の状況について理解を深めた。また、Francis Donovanの著書を日本語に訳し、その文面を検討するとともに、出版の可能性をさぐった。主に検討したのは、DonovanのThe Woman Who Waits だが、その他1980年代から90年代に出版された、20世紀前半のアメリカ社会における女性労働や女性の移動、ウェイトレスの歴史についての研究を読み、理解を深めた。 また、19世紀後半から20世紀にかけてのJane AddamsのHull House についての資料及び研究を読み、社会福祉と社会調査の関係について検討した。また、初期のアメリカ社会学において、社会学と社会福祉学がどのような関係を持ち、またどのように分離していったのかを考察する必要を感じ、資料収集を開始している。 さらに2019年度夏には、ヨーロッパにおいての20世紀初頭の女性の労働や生活についての研究を進めるために、ベルギーの歴史資料アーカイブを訪問し、資料の収集及び分析の可能性を検討した。こちらについては、まだ分析の方向性が定まっていないが、特に戦間期について、女性の労働や娯楽のあり方について、資料収集が可能であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は、過去の資料の整理を行い。問題意識の確認に留まった。シカゴ学派社会学の資料収集のために、2月にシカゴに行って、コレクション資料を収集する予定だったが、新型コロナウイルスの流行などもあり、断念したため、新しい資料の入手ができなかった。また、2020年度に予定していた国際社会学会での発表についても、7月から2021年2月に延期になったが、開催自体が危ぶまれており、過去の社会学フィールドワークやその成果を、どのように研究しうるのか、というテーマで行う予定だったワークショップの準備は現在中断している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、海外調査を行うことが難しいため、シカゴ大学の特別コレクションおよびシカゴ歴史博物館の所蔵資料をオンラインで検索し、取り寄せ可能な資料があれば入手して分析を行いたい。また、デジタルメディアを用いての歴史研究の可能性についても、議論を整理し、その可能性と限界について議論を深める予定である。また同時代の日本における社会学と女性についてもデータ収集を行い、比較の可能性をさぐりたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大により、シカゴでの現地調査および、2020年度の出張費用として支出する予定だったブラジルでの国際社会学会参加ができないため、それらの海外出張分の諸経費が未使用のままとなっている。
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