2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K02065
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
浜田 宏 東北大学, 文学研究科, 教授 (40388723)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 淳 関西学院大学, 社会学部, 教授 (40411772)
清水 裕士 関西学院大学, 社会学部, 教授 (60621604)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 数理社会学 / 統計モデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的(社会学・心理学・経済学の三分野を横断する人間行動に関する実証的一般理論をベイズモデリングによって創造すること)を達成するために,各メンバーが独自の理論モデルの統計モデル化を進めた.浜田(代表者)は経済物理学のボルツマン=ギブス分布モデル(Dragulescu and Yakovenko 2000; 2002)をベースに,エージェント・ベースト・モデルからの指数分布導出モデルを新たに定式化した.このモデルでは,利用資源量の異なる集団内で,それぞれが経済交換を続けた場合と,集団間での取引が可能な場合の資産分布をシミュレーションで比較し,現実の所得分布において学歴分断の影響を仮定したモデルと分断が存在無い場合のモデルを比較した.分析の結果,データへの当てはまりは,学歴分断を仮定したモデルのほうが相対的に良いことが判明した. 石田(分担者)は,浜田ほか(2019)で展開した所得評価についての単純比較モデルをさらに展開し,「人はある次元での自らの相対的地位を評価する際に,所得分布イメージ上でランダムに出会う他者との比較を行う」という仮定を追加したモデルを構築し,SSPデータを用いた分析を行った.その結果,属性別で見ると男性50歳前後が相対的にもっとも正確な所得分布認知をもっていることが示唆された. 清水(分担者)は、不平等な社会状態を人々がどのように選好するのか、そのメカニズムを明らかにすることを目的に、統計モデリングによって検討した。清水(2019)では人々が自らの社会選好を他者に投影し、その重み付け和によって社会状態の価値が決まるというモデルを構築し、データにより検証を行った。結果、そのモデルは先行研究(Kameda, et al, 2016)よりも当てはまりがよく、一定の妥当性が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに概ね順調に進行居している.ただし新型コロナ感染拡大に伴い学会大会が中止となり,年度末に予定していた研究報告が一部実施できなかった.
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き理論モデルベースの経験的検証を実施するためにStan(確率的プログラミング言語)でMCMC推定用のコードを実装する.データ操作のインターフェースには統計プログラミング言語Rを使い,任意の環境で再現可能なコードを作成する.Githubを利用してオンラインで分担者と共にコードを効率的に開発する(リポジトリは既に作成済み).実証用データは主に公開データを利用し,モデル開発に注力する.ただしコアとなる理論の検証に必要なデータ(例えばプロスペクト理論価値関数のパラメータを推定するためのデータ等)については実験的インターネット調査の実施を検討する
|
Causes of Carryover |
研究分担者分担金で支出予定だった学会出張費が新型コロナウィルス感染拡大防止に伴う学会大会中止により支出できなかったた.そのため次年度に繰り越す.
|
Research Products
(4 results)