2021 Fiscal Year Research-status Report
近年のトランスジェンダーから見る現代日本社会の性別規範
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19K02069
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鶴田 幸恵 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 准教授 (00457128)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | トランスジェンダー / インタビュー / 概念分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
トランスジェンダー現象とは、「カテゴリー間の差異や類似性を語りながら、カテゴリー同士をマッピングすることで、アイデンティティを理解可能にする実践の記述」であり、それは「新しい分類が生まれては、書きかえられ、消えていくというループ効果」であり得るとする前年度までの研究成果に対して、それらがどのようなものであるのかを検討した。その検討は、これまでに自分が行ったトランスジェンダーの活動家へのインタビューを、分析し直すことにより行われた。具体的には、インタビュー・データの分析から、2000年前後、2010年前後、2020年前後の3つの、トランスジェンダーの下位カテゴリーの概念地図を描くことを試みた。 次に、カナダにおけるトランスジェンダーに関するカテゴリーの使用について、特にブリティッシュコロンビア州の1970年代くらいから近年までの、トランスジェンダーに関する新聞記事や雑誌記事、リーフレットなどの紙媒体の資料のコレクションから把握することを試みた。それによって、自分が記述していることを、「日本のトランスジェンダー現象」として位置づけられるかを検討した。 また、上記の3つの概念地図を描く中で、インタビューにおいて語られる性別規範や、それが形作る性別二元制というものの位置づけが、この20年間でずいぶん変化している、ということがわかった。それがどのようにしてなのかを、「自分が何者であるかを理解可能にする語り方」の変遷として、記述した。それらについて、経過を学会で報告し、全体像を招待講演で取り上げた。今後は、それらの記述から、「日本社会における性別規範の変容の仕方」を具体的に描くことを試みたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インタビューをオンラインでするのには、限界があると判断したため、新しいデータを収集するという点では、進展が遅れているが、「日本社会における性別規範の変容の仕方を具体的に描く」ことの可能性に接近できたため、概ね順調とする。
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Strategy for Future Research Activity |
インタビューデータをビデオデータとしても、エスノメソドロジーや会話分析の手法で分析するために、コロナ禍でマスクをしないインタビューがどのように可能かを模索しながら、インタビュー調査を行い、データの分析を進める。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスによる感染拡大により、今年度予定していた調査を来年度に行うため。
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