2021 Fiscal Year Research-status Report
Theoretical Studis on 'nuclear family' and 'binuclear family'
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19K02072
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
鈴木 健之 立正大学, 文学部, 教授 (90310234)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 二核家族 / よい離婚 / 核家族 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、タルコット・パーソンズの「核家族」概念がコンスタンス・アーロンズの「二核家族」概念によってどのように相対化されていったのかを理論社会学的・知識社会学的に明らかにすることを目的としている。 本年度は、夏に渡米し、アーロンズ氏と「二核家族」概念と「よい離婚」について集中的な討議を行う予定であったが、2020年度と同様、コロナ禍につき計画が遂行できなかった。また、本年度中にアーロンズ氏の『よい離婚』の翻訳出版を予定していたが、今回の集中討議を収録する予定であったため、出版の延期を余儀なくされた。 本年度は、こうした事情から当初の予定を変更し、まず、アーロンズ=ロジャーズ『離婚家族』を再読・精読し、日本語版の改訳を行い、改訳稿を完成させることができた。次に、アーロンズvs.ウォーラースタイン論争(「よい離婚」vs.「わるい離婚」論争)について知識社会学的検討を行った。アーロンズの主要著作はもとより、ウォーラスタインの主要著作についても詳細なレビューを行うことで、両者の対立を止揚する理論的方向性を見定めることができた。そして、1970年代以降、アメリカ家族社会学の代表的な教科書における「離婚」の扱われ方・論じられ方について、理論社会学的・知識社会学的検討を行った。 本研究成果の一部は「『より離婚』再考――現代アメリカ社会における離婚研究」(『立正大学文学部論叢』第145号2022年3月)として公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回のコロナ禍につき、当初予定していた渡米してのアーロンズ氏との集中討議ができなかった。オンラインによる討議を検討したが、夏ごろより体調を崩され、2021年11月にお亡くなりになり、叶わぬこととなった。このことをのぞけば、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は2021年度でもって終了予定であったが、1年間研究期間を延長した。 (1)アーロンズ氏が晩年顧問を務めたInternational Academy for Collaborative Practice とKids' Turn の関係者、またアーロンズ氏と親交の深かった研究者、実践家へのインタビューを行う(対面・オンライン)。 (2)『よい離婚』については2022年度内に刊行する。 (3)絶版となっている『離婚家族』の改訳版の刊行をめざす。
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Causes of Carryover |
本年度予定していた渡米してのアーロンズ氏との集中討議が今回のコロナ禍により実現できなかったこと、またその際に通訳をお願いする予定でいた Toca Murakami氏への謝金の支払いが発生しなかったことによる。 2022年度は渡米してのインタビュー調査を行うためその旅費等に使用する予定である。
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