2020 Fiscal Year Research-status Report
Exploration into conditions for sustainable development of a city
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19K02078
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
玉野 和志 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (00197568)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 都市 / 人口 / 持続的発展 / 地方創生 |
Outline of Annual Research Achievements |
以前に行った研究の成果として設定された都市地域の諸類型を前提として、とりわけ持続可能な都市の条件を考えるうえで重要な「持続都市」のタイプを中心に、初年度は自然増と社会増の状況、ならびに年齢別人口構成の推移からどの年齢層で社会増が見られるかなどの人口動態に関する要因を分析した。その結果、進学、就職時にある程度の社会増が確保できることが人口の維持のためには重要であることがわかった。そこで、今年度は人口移動を左右すると考えられる、他都市との時間距離やその他の社会経済的な要因との関係を明らかにするために、それらの分析を可能にするデータセットの作成に取り組んだ。 まず、主要大都市圏との距離が近いと人口が吸収されてしまう可能性を検討するために、人口を比較的維持している「持続都市」と人口を減少させている「縮小都市」を中心に、主要都市との時間距離を確認した。その結果、必ずしもそうではなく、時間距離が変わらないのに、人口を縮小させている都市と人口を維持している都市があることが判明した。そこで、とりあえず都市間の時間距離については、すべての組み合わせについて、データを作成することにした。 また、社会経済的な要因と都市の人口推移の関連を確認するために、とりあえず国勢調査データについて、都市地域を単位とした分析が可能なデータセットの作成に着手した。都市地域ごとに各調査年度の国勢調査データを並べたデータマトリックスを作成し、各都市の人口の増減と産業別、職業別の就業者数などとの相関を確認するための準備を行った。このようなデータ分析は、あくまで相関関係を確認するだけで、因果関係を確認できるものではないが、探索的な検討には有効であろう。年度内にデータセットの作成は完了したので、最終年度には相関関係の分析を進めると同時に、そこからさらに因果関係の分析を可能にするデータセットの整備を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、第2年度中にはデータセットの作成を完了し、ある程度の変数の相関関係を確認するところまで作業を進めるつもりであった。しかしながら、コロナ禍で在宅勤務を余儀なくされたために、データセット作成のための細かな作業内容をアルバイトに直接指示することがむずかしく、比較的簡単な作業のみを依頼するに留めざるを得なくなった。そのため、複雑な部分については、自ら時間を取って行う必要が生じ、作業を思うように進めることが困難な状況に陥ってしまった。それでも、何とか年度内には国勢調査に関するデータセットの作成まではこぎつけたので、最終年度にはその分析に進みたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の影響もあって、第2年度のデータセット作成の作業に思ったよりも手間取ってしまったので、当初予定していた経済センサスのデータ分析まで、今研究期間内に到達するのは困難かもしれない。そこで、とりあえず完成した国勢調査のデータセットによる分析を精緻化することに力点を置き、経済センサス等の他のデータセットの作成は可能な限りで行うことにして、残された課題については、新たな研究計画の申請によって実現を図ることにしたい。国勢調査データの分析に関しては、単なる相関関係の確認にとどまらず、因果関係の推論へと進むために、各調査年度の数値から変化率等を計算し、これをデータセットに加えることで、分析を精緻化していくことに努めたいと考えている。
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Causes of Carryover |
実質的に執行は終わっており,残額については次年度に洋書等で執行予定である.
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