2022 Fiscal Year Research-status Report
Disaster Sociology research where the dead co-exist in <now, here>
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19K02083
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
金菱 清 関西学院大学, 社会学部, 教授 (90405895)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | vulnerability / 悲嘆経験 / ヴァナキュラー / 災害 |
Outline of Annual Research Achievements |
大震災において、私たちは現代社会のさまざまな脆弱性 vulnerability に直面した際に、どのように喪失や悲嘆経験を理解し克服するのか。大震災でわが子を亡くし、障害を抱え、家や店を失った人々が、学生の問いかけに応えて言葉を紡いだライフストーリーを研究してきた。復興と繁栄を急いだ都市の底に沈んだ記憶をほどき、当事者の孤独や負の感情、災害の不条理をどう語り継ぐかを再考した。 震災直後の記憶の鮮明さに比して、時間軸を先へ伸ばした場合に、人々は震災をどのように受け止めそれを内部で咀嚼して言葉として紡ぎだせるのか。災害のインパクトのある記憶は、ただ直線的、一方向的に消失していくのではなく、社会のなかで記憶が喚起されて異なる形で鮮明になることがある。たとえば、災害や戦争などの犠牲者の追悼施設や記念碑は、その最たるものである。集合的記憶の提唱者であるアルヴァックスは、記憶と忘却は、生理的であるとともに、すぐれて社会的な現象でもあると考えた。後者に引き付けて言えば、記憶が再構成されて、継承される契機になることを示唆しているだろう。 もっとも、それはナショナルなものとして、施設などを媒介して歪んだ形で統合される危険も常に持ち合わせていることは、否定できない。しかし、個々の記憶を解きほぐしてみると、公的な記憶には回収されえない「個別民衆的(ヴァナキュラー)な記憶」が顔を覗かせることがありうる。すなわち、災害当時は見えてこなかった災害の課題群が個々の記憶を通して実相となって立ち現れる可能性を私たちは見過ごしてはならない。今回本研究では、「時間軸の先に現れる震災史」を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の後半はコロナが減少傾向にあったが、前半はフィールドワークに行くには十分な環境になかった。その分研究の調査データが十二分に揃わなかったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
東日本大震災に引き続き関わる一方で、阪神淡路大震災発生から四半世紀が経つ中で、どのように現場に人々が震災を捉えようとしているのかについて比較検討する。とりわけ、五感と記憶についての関連から調査を進める予定である。
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Causes of Carryover |
申請書提出時はコロナ前だったので計画通りだったが、途中コロナになったためにフィールドワークにおいて現地での調査に支障がでた。そのため、出張旅費に未使用額が発生した。次年度まで調査を進めることにし、聞き取りの調査や資料の整理、および出版に向けて準備を進めている。
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Research Products
(2 results)