2021 Fiscal Year Research-status Report
Behavioural Change and Citizenship: Policy Analysis on Welfare Reform in the U.K.
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19K02085
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Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
平野 寛弥 目白大学, 人間学部, 准教授 (20438112)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | コンディショナリティ / シティズンシップ / イギリス / 社会政策 / ユニバーサル・クレジット |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は予定していた海外での調査研究活動が実施できなくなったため,文献資料を用いた史料研究に切り替える形で実施した.具体的には,イギリスで2010年代に進められてきた福祉制度改革とそれが人々のシティズンシップにもたらす影響について,関連文献をレビューを行い,その成果の一部を『社会政策における自律とエージェンシー』というタイトルで第94回日本社会学会大会にて報告した. おりしも関連学会(貧困研究会)より,年次大会の共通論題(シンポジウム)『要件化・貸付化する貧困対策』での登壇を依頼されたため,そのレビューに基づき,「コンディショナリティ(福祉給付に付帯する諸条件の性質)」の観点から政策分析を行い,その成果を『社会福祉の要件化の世界的潮流:イギリスの福祉制度改革の事例から』とのタイトルで講演し,他のパネリストおよびフロアと,コンディショナリティに見られる日本とイギリスの相違点や国際的動向などについてディスカッションを行った.これらの詳細は2022年6月に刊行予定の学会誌『貧困研究』の特集論文として公開される. また,これと併せて,近年の社会政策の変容を論じた話題作である『Social Policy: A Critical and Intersectional Analysis』(Fiona Williams著,2020年,Polity社)の翻訳作業を進めているほか,上述の福祉給付のコンディショナリティ強化についての基本文献とされる『Welfare Conditionality』( Beth Watts & Suzanne Fitzpatrick著,2018年,Routledge社)の翻訳作業を進めており,こちらも2022年夏頃の刊行を目指している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに1年目に英語論文,2年目には共著書の出版を遂げたうえで3年目の今年度は,基本文献の翻訳と特集論文としての寄稿を進めてきた.したがって,順調に研究は進んでいるが,今後さらに研究を進め,国際学会での報告や査読付き論文としての投稿,単著の執筆などを精力的に行いたいと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も資料や公開データなどから情報収集し,研究活動を進めていく.また,zoomなどを用いた遠隔手法でのインタビューの実施を積極的に導入していく一方で,コロナ禍も徐々にではあるが収束の兆しを見せ始め,海外への渡航も再開されたことから,イギリスでの調査活動を再開したい.また,日本国内の政策動向や社会状況に関する調査・分析についても並行して進め,国際比較が可能になるような工夫もしていく必要がある.
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Causes of Carryover |
2021年度も新型コロナウイルス(COVID-19)の感染状況が収束せず,海外への調査出張,海外学会への出張ができなかったほか,国内の調査活動も大幅に制限された.また,感染拡大を受けて教育活動も遠隔方式での実施を余儀なくされ,それに伴う対応に注力せざるをえなくなった結果,当初予定していた形で研究活動を行うことができなくなってしまった.以上の理由から,当初予定していた配分額を満額執行することができなかった. 次年度使用額については,次年度の研究活動における研究資金として活用することにし,翌年度分と合わせて執行する.具体的には,次年度使用額は,文献資料や公開データを使用した分析にかかる諸費用(追加的文献購入費,データ使用費用,データ分析用ソフト購入費用)や,海外学会への参加費(参加方法はオンラインとなる可能性が高いが,状況が改善すれば現地に渡航して参加する),英文研究雑誌への投稿関連費用(校正費用,アーリービュー費用)などに優先的に使用する.
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