2021 Fiscal Year Research-status Report
幼児期における人間関係形成と家族の社会関係資本の構築
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19K02094
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Research Institution | Kwassui Women's College |
Principal Investigator |
石川 由香里 活水女子大学, 健康生活学部, 教授 (80280270)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 社会関係資本 / 子育て / 保育所・認定こども園 / 女性の就労 / 地域社会 / 新型コロナ |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画の段階では、保育所・認定こども園に通う保護者に対し、子育てに関する社会関係資本について、聞き取り調査を実施する予定であったが、コロナ禍にあっては実施が困難となった。そのため、調査票調査に切り替えることとした。実施に当たっては、活水女子大学研究倫理委員会にあらためて倫理申請を行い、調査票の内容について認可を得た。それと並行して、6月には長崎市こども部子育て支援課に相談のうえ、長崎市内の公立保育所並びにこども園7か所と、私立保育所6か所に依頼し、協力を取り付けた。実査は8月に利用者全世帯に保育所・こども園を通じて調査票を配布、個々の世帯による郵送回収の形とした。回収数は361票、回収率は38.1%であった。その後、データ入力、クリーニングを済ませ、単純集計表を中心とした調査報告書を作成した。報告書は2月に完成し、調査に参加・協力いただいた保育所・認定こども園を通じ、通所・通園する全世帯への配布をお願いした。調査結果からは、予測されたことであるものの、やはりコロナ禍にあっては保護者同士が関わること自体が困難となっており、つながりの希薄化が進んでいることが浮かび上がってきた。また10年前に行った調査と比較すると、町内会、近隣等地域社会とのつながりが非常に弱くなっていることもわかった。その一方で、他の保護者と親しくなるきっかけとして、子ども同士の仲が良い、きょうだいが同じ年齢といった項目があてはまるとする回答が多く、保護者の社会関係資本の構築において子どもの持つ重要性が改めて浮き彫りになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査計画の段階では2年目での実施を計画していた聞き取り調査を前年度末に断念することになり、調査票調査に切り替えて行うことになった。それによって、調査票に盛り込む調査項目の検討、研究倫理委員会への申請、また調査先の選定および依頼等、準備に時間を要することとなった。年度内での完成を目指し、調査を完遂することはできたものの、結果については単純集計表を中心とした報告書を作成したのみで、分析については不十分であり、論文等の成果としてまとめあげることが、年度内にはかなわなかったため、やや遅れているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度得られた調査データに対する詳細な分析を行う予定である。とくに研究の目的としている、幼児期の子ども同士の関係性が、家族全体の社会関係資本としていかに蓄積されうるのかという点については、十分に考察できていない。したがって、まずはその点について調査票調査のデータから明らかになったことを論文の形にまとめ、研究成果としたい。その際には過去に行った調査との比較を試みる。さらに可能であれば、当初計画していた聞き取り調査についても、小さな規模で実施できればと考えている。ただしそれについては、地域移動の可能性、調査対象者の承諾のいずれについても、新型コロナウイルス感染症の感染状況が大きく関連するため、見通せない面があることは否めない。したがって実施できるとしても、あくまで補足的なものであると考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、当初予定していたインタビュー調査の形態をとることが難しかったため、調査票調査に方法を切り替えて実施をした。そのため、調査の準備と実施に時間を取られることとなり、年度内には十分な分析を行うことができなかった。そのうえ所属機関を異動したことによる研究環境の変化も生じている。そこで今年度にデータ分析を行ううえで必要となる新たなパーソナル・コンピュータ、および統計ソフトの購入を計画している。また、新型コロナ感染症の状況を見ながら、可能であれば長崎でのインタビュー調査も試みてみたいと考えており、その旅費に充てる分を見込んでいる。
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Research Products
(2 results)
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[Book] 若者の性の現在地2022
Author(s)
林雄亮・石川由香里・加藤秀一編著
Total Pages
250
Publisher
勁草書房
ISBN
978-4-326-60348-0