2019 Fiscal Year Research-status Report
地域社会の不均等発展と地域社会類型の再編に関する研究
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19K02095
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小内 透 北海道大学, 教育学研究院, 特任教授 (80177253)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 地域的不均等発展 / 地域社会類型 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、すでに入力済みのデータを用い、1955年から2015年の60年にわたる地域社会の基礎的側面の変化とそれらを指標にして設定した地域社会類型の推移に関して、都道府県と市町村を単位にした分析を行い、その結果をもとに『調査と社会理論・研究報告書36 戦後日本の地域的不均等発展と地域社会類型の諸相』を刊行した。 その報告書では、可能な限り従来の方法を踏襲した分析を行う一方、新たな方法による分析も行った。1つは、市町村の場合、従来行ってきた最新の地域的範囲をもとにした検討だけでなく、各年次の市町村を単位とした分析も行った。これは、間接的に市町村合併のもつ意味を考える上で、有効な作業であると考えている。2つめに、2002年、2007年に大幅に改定された日本標準産業分類をもとにした新たな分析を行った。産業分類の大幅な改定は、主としてサービス業の比重の増加と多様化を背景としているため、サービス業の内実を問う形での検討を行うことにつながった。 その結果、現代日本の地域社会のマクロな全体構造は、かつての「都市」と「農村」の2類型のみでは把握しえなくなっていることが明らかになった。それは、きわめて多様な地域社会類型が、地域的不均等発展の構造を含みながら、生み出されているからである。しかも、都道府県を単位にした地域社会の性格は、市町村の特徴を単純に積み重ねただけでは明らかにできないこともたしかであった。このことは、逆にいえば、現段階における地域社会のマクロな全体構造を、全般的都市化、都市型社会への移行、過疎-過密、東京一極集中といった概括的な形だけで単純に把握できないことを意味している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
すでに入力済みのデータを活用した分析ができ、それを刊行物としてまとめることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、1950年以前のデータの収集・入力と地域社会の社会的側面に関するデータの収集・入力およびそれらの分析が課題となる。
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Causes of Carryover |
予定していたデータ収集にかかる出張の機会を得ることができず、出張を来年度に繰り延べした。また、研究補助者の雇用手続きの遅れと補助者の都合による勤務計画の変更により、人件費を来年度に持ち越した。
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