2020 Fiscal Year Research-status Report
教育における差異のジレンマからの脱却に向けた不平等形成スタンダードの脱構築
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19K02099
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
二羽 泰子 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 特任助教 (20802507)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マイノリティカテゴリの多様な解釈 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は海外でのフィールドワークが困難だったため、1)各マイノリティの解釈が各地域でいかになされてきたか、2)マイノリティカテゴリはいかにして変容できるか、の2点を主要な研究課題として、昨年度に引き続き文献の分析を行った。 1)各マイノリティの解釈が各地域でいかになされてきたか アメリカにおいて人種問題は、黒人と白人という肌の色の問題とされている。一方、フランスでは公における宗教実践の問題等、市民として承認されるうえで必要とされる条件に適合するか否かという問題と認識されている。このように同じように見える欧米であっても、各地域の文化に埋め込まれたマイノリティ問題の現れ方は多岐にわたっていた。このことは人種問題にとどまらず、障害の問題にも見られた。 社会モデルを中心として議論されてきたイギリスに対し、アメリカではどちらかといえばアイデンティティ・ポリティクスといえるような、アイデンティティを再検討する動きが盛んにおこなわれている。一方アフリカの特定の民族によっては、特定の障害について障害者というスティグマは与えられておらず、民族の多様性と同等の解釈が用いられていた。 2)マイノリティカテゴリはいかにして変容できるか 上記のような多様な解釈から、マイノリティカテゴリの変容は、地域における文化的社会的要因によって変容することは明らかである。したがって、欧米や日本においてスティグマ化されているカテゴリであっても、それらの意味づけが変わることは充分考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は、マイノリティカテゴリの多様な解釈とその変容について、海外でのフィールドワークから分析する予定であった。しかしコロナ感染の広がりから海外フィールドワークのめどが立たず、今年度の予定を全く実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
海外フィールドワークが可能になり次第実施する予定である。少なくとも1度は調査の実施を行いたい。 しかしながら、2021年度についても、海外渡航が可能になるか否かは危うい状況である。したがって、国内での研究を余儀なくされた場合には、国内に居住する外国人への聞き取り等、当初の予定を大幅に変更した調査とせざるを得ない。だが、たとえそのような調査変更を行ったとしても、調査予定であったアフリカにルーツのある居住者は非常に少ないため、補足的なデータにとどまる可能性が高い。 よってフィールドワークが全面的に困難となった場合には、文献中心の調査に切り替える予定である。
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Causes of Carryover |
海外フィールド調査費が使用できなかったため、また国際学会がオンラインとなり、渡航費がかからなかったため。今後のフィールド調査で使用予定である。
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