2022 Fiscal Year Research-status Report
教育における差異のジレンマからの脱却に向けた不平等形成スタンダードの脱構築
Project/Area Number |
19K02099
|
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
二羽 泰子 静岡県立大学, 国際関係学部, 講師 (20802507)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | マイノリティとの共生 / タイ |
Outline of Annual Research Achievements |
当初セネガルにて実施する予定を変更し、タイにおいて同等の調査を実施した。少数民族・障害者・LGBTQの各マイノリティカテゴリが、タイにおいて、あるいは各民族において独自に解釈され用いられることによって、マイノリティへの差別や不平等を、西洋とは異なる形で回避しているケースについていくつかのユニークな実践を収集した。また、それらの実践がいかにして生まれているのか、いかなる社会的仕組みにおいて生み出されたのかについて分析するための背景情報について、文献とインタビュー調査の両方から収集し、分析した。その結果、障害者カテゴリについては、西洋の文化の影響の度合いによって、競争主義や個人主義が台頭している領域(例えば教育や就労)では西洋に近い排除や差別が起きていたが、生活領域においては西洋や日本で見られる排除や差別はあまり見られなかった。LGBTQについては、西洋とは異なるカテゴリ解釈がされていることから、差別の現れ方や運動のあり方などが、日本や西洋のそれとは大きく異なっていた。最後に少数民族・移民については、タイ人として教育を受け、街で働く若い世代と、政府に言われるままに農作物を生産するものの貧困状態から脱せずにいる村の高齢世代とに大きなギャップが生まれていた。若い世代では、タイ人のタイの街に同化することで得られる利益と、失うアイデンティティとがいわば交換条件として機能していた。他方村に残る人々も、政府の介入により、経済的自立かアイデンティティの喪失かという危機に立たされていた。そうした中で、中間世代の人々のネットワークによって、様々な取り組みがなされていた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナによる出張制限に伴い急遽調査地を変更したため、予備調査等ができておらず、データ収集がまだ十分とはいえない
|
Strategy for Future Research Activity |
夏までに主要なデータ収集を終え、整理・分析を行う。秋の学会で発表し、不測するデータを12月に追加収集し、分析を精緻化する。紀要で研究発表を行う。
|
Causes of Carryover |
コロナによる海外出張制限に伴う調査地の変更に伴い、データ収集にもう少し時間を要するため
|
Research Products
(1 results)