2020 Fiscal Year Research-status Report
Study on Relationship between Residents' Activities and Experiences of "Being Supported" in the Course of Recovery from Disaster
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19K02100
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
大堀 研 青山学院大学, コミュニティ人間科学部, 准教授 (20436603)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 受援経験 / 市民活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、災害被災地における市民活動団体の、外部からの支援を受ける経験(受援経験)が、団体活動に及ぼす影響を検討するものである。岩手県釜石市の市民活動団体複数を対象に、団体メンバーへのインタビュー調査を実施することを計画している。 2020年度は関連する文献の確認・整理を中心に実施した。東日本大震災の復興・支援活動に関する社会学的研究としては、近年も田中重好・黒田由彦・横田尚俊・大屋根淳編『防災と支援』(有斐閣, 2019年)、西城戸誠・原田峻『避難と支援』(新泉社, 2019年)、吉原直樹『震災復興の地域社会学』(白水社, 2021年)など刊行が相次いでいる。東日本大震災に関するものではあっても(西城戸・原田2019)は埼玉県への広域避難者に対する支援活動を、(吉原2021)は原発被災地を主題としているなど内容に差異がある。本研究は市民活動団体の受援経験という比較的研究蓄積の少ない領域を対象とするものであることから、復興・支援活動の様相・考察について幅広く把握し、本研究に関連する要素を発見することが必要である。この観点から、研究終了まで同様の作業を続ける。 一方、「受援」を関した研究・報告にも増加がみられる。しかしその多くは自治体行政の受援体制構築に関心を寄せており、陣内一徳『社会課題解決の「みらい」』(丸善プラネット, 2019年)のように民間の活動に焦点をあてた報告もみられるもののその数は限られる。民間、特に市民活動の領域における「受援」概念の適用可能性を巡ってさらなる検討が必要である。 なお、市民活動ならびに受援経験が主題ではないが、市民活動団体と外部支援者との関係を記述した論考を書籍収録論文の一つとしてまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究助成申請時の計画では2019年度に予備的な調査を実施した上で2020年度に釜石市において本格的なインタビュー調査を実施することを予定していた。しかし2019年度の台風19号被災ならびに新型コロナウイルス感染症の流行開始に続き、2020年度も同感染症の流行により現地調査が実施できる状況にはなかった。年度当初にはオンラインによるインタビュー調査の可能性も検討した。釜石市の市民団体活動者と複数回オンラインで面談を行うなどし、補足的なインタビューであれば可能であるものの、本格的なインタビューとしては(特に初めてインタビュイーと面会する場合には)直接の面談が必要との感触をもった。そのため、2020年度はオンラインによるインタビュー調査の実施を断念した。 以上の理由により、予定と比較して研究の進展が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種の進展次第となるが、2021年度の後半には現地調査の実施可能な状況に復帰する可能性もある。その際には集中的にインタビュー調査を実施する。それが可能となるよう、岩手県釜石市の市民活動団体メンバーと密接に連絡をとり、移動が可能となった場合に迅速に実行できるよう備える。 年度後半になっても現地調査の実施可能性が見通せない場合には、オンラインによるインタビュー調査を導入する。その場合、新規のインタビュイーへの面談は断念し、既知の活動者に対するインタビューを中心に実施することとする。
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Causes of Carryover |
当初計画では2019年度は予備調査を、2020年度は本調査を岩手県釜石市で実施するとしており、2019年度は2泊3日程度の調査旅行1回を、2020年度は3泊4日程度の調査旅行2回を予定してた。しかし2019年度は台風19号の影響ならびに新型コロナウイルス感染症の流行開始、2020年度も同感染症の流行継続で調査旅行の実施が不可能な状況となった。オンラインによるインタビュー調査は必ずしも望ましい手段ではないことから、調査旅行の可能な時期まで調査を待つこととしたため、次年度使用額が生じた。 今年度は、年度後半に状況次第で調査旅行を集中的に実施する。期間等は状況に応じて変更するが、2019年度分、2020年度分として計上していたものと同程度の国内調査旅費、複写費、インタビューデータの文字起こし費が必要となる。また文献資料調査を継続して実施することから、そのための物品費(書籍)、複写費が必要となる。
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