2019 Fiscal Year Research-status Report
女性琉球舞踊指導者のアメリカ社会におけるエイジェンシーの分析
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19K02106
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
宜野座 綾乃 琉球大学, 島嶼地域科学研究所, 准教授 (20786545)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | gender / women / performativity / Okinawa diaspora / Okinawan dance |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、第二次世界大戦中あるいは米軍統治下の沖縄からアメリカに移民し、現在アメリカで琉球舞踊指導者として活動する四人の女性たちのライフヒストリーをを中心にたどり、異国で伝統芸能を継承する彼女たちの活動が、アメリカ社会における沖縄系移民のコミュニティ形成にどのような役割を果たしてきたかについて明らかにすることを目的とした研究である。 一年目にあたる2019年度は、沖縄県人会ロサンジェルス支部が拠点を置く、アメリカカリフォルニア州ロサンジェルス近郊における女性琉球舞踊指導者へのオーラル・ヒストリー・インタビューと資料収集を主に行った。インタビューイーの多くは、沖縄県人会の会員として会員を中心に琉球芸能を活動を通し、沖縄、日本、アメリカ、中・南米という国家の境域を形成するディアスポラを形成している。彼女らの多くは第二次世界大戦前後に沖縄で生まれ育った後、幼少期あるいは20台前後にアメリカへ渡米・移民したいわゆる新一世である。 オーラル・ヒストリー・インタビューや県人会での資料収集から、彼女らの琉球舞踊指導者への道が、必ずしも個人的な目標としてあらかじめ設定されていたのではなく、沖縄ディアスポラにおけるニーズや、沖縄県からの政治性、沖縄県にある家元からの社会的、また文化的な要望との関係性の中で、たどり着いた社会的で文化的な役割を担っていることが明らかになった。また、しまくとぅばや、沖縄方言、日本語を話さない門下生への舞踊の指導を介して、琉球・沖縄のアイデンティティや島嶼性の継承を担う県人会の中心的役割の担い手としての彼女らのエイジェンシーに関しても今後知見を深めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスパンデミックに伴い、通常調査期間である2月から3月に海外渡航規制等が敷かれ調査が実行できなかったため、現地調査による資料収集が困難になった。また、海外渡航による現地調査にとどまらず、沖縄県内においても、コロナ感染の影響から県内の資料収集や調査も困難になった。そのため、2年度目に計画していた調査内容のまとめに基づいた論文執筆にも遅れが出ることが予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
第一次資料の収集という側面に関し今後コロナウイルスの収束を待ち再開したい。現時点では、2019年8月に行った現地での資料収集やインタビューを元に分析作業を進め、すでに収集済み、またはアクセス可能な資料を中心に理論構築、リタリチャーレビューに力を入れたい。また、分析データが不十分という現状を踏まえ、計画した英語と日本語での論文執筆に関しても遅れが生じる可能性があるが、理論構築を中心とした作業に比重を置き、研究の遅れを取り戻したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスパンデミックによる渡航規制により、2月と3月に計画していた資料収集や調査が中止となり、アメリカ渡航が中止となったため。来年度は、コロナパンデミックの収束と海外への渡航規制等を考慮しながら、渡航できるようであれば、期間を長めに取り初年度分の調査を補いたい。
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