2022 Fiscal Year Research-status Report
医療現場における悲嘆の共同化の可能性と課題に関する社会学的研究
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19K02116
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Research Institution | Japanese Red Cross College of Nursing |
Principal Investigator |
鷹田 佳典 日本赤十字看護大学, さいたま看護学部, 准教授 (30634266)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 悲嘆の共同化 / 患者の死 / 医療者のサファリング / デスカンファレンス / M&Mカンファレンス / 対話 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、医療者参加型遺族会とデスカンファレンスの調査を通じ、医療現場における悲嘆の共同化の可能性と課題を明らかにすることを目的としている。今年度は、昨年度より実施しているA病院のM&Mカンファレンス(Morbidity and Mortality Conferences)を対象とした継続調査を実施した。 A病院で月1回行われているM&Mカンファレンスに参加させていただいた他、M&Mカンファレンスに参加する医療従事者8名(医師、看護師)にインタビューを実施した。昨年度に実施した10名分と合わせて18名分のインタビュー・データの内容分析を行い、M&Mカンファレンスが①対話の場、②教育の場、③亡くなった患者を共に悼む場、として機能していることが明らかとなった。こうしたことを可能にしている要因として、次の患者につなげるという目的の共有や話しやすい雰囲気作りなど、従来M&Mカンファレンスについて指摘されてきた「非難の文化」とは異なる対話の文化を醸成する工夫がなされていることが示唆された一方、発言者の偏りや発言することへのハードルといった課題もみえてきた。 患者の死に伴う悲嘆については、特定の悲しみ方が支配的となり、閉じられた共同性に向かう危険性も指摘されてきたが、A病院のM&Mカンファレンスにおいては、多職種がフラットな関係で対話を重ね、同じ悲しみ方をするのではなく、「同じ方向を向く」という理念がゆるやかに共有されており、本研究のテーマである悲嘆の共同化の新たな可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はA病院のM&Mカンファレンスの継続調査を実施することができたが、新型コロナの感染拡大の影響もあり、予定していた海外での現地視察(海外のデスカンファレンスやメモリアルサービスの視察)や資料収集ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、昨年度までに実施してきた調査結果をまとめる作業を行う。具体的には、3つの学会発表の内容をそれぞれ論文化し、国内のジャーナルに投稿する。また、海外での学会参加や現地視察も実施予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響で、予定していた海外での現地視察や資料・情報収集ができなかったため、次年度使用額が生じた。今年度は国際会議等への参加などで使用する予定である。
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Research Products
(6 results)