2023 Fiscal Year Annual Research Report
A sociological approach to the problems at the final phase of Hansen's disease issues
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19K02126
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
福岡 安則 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 名誉教授 (80149244)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ハンセン病 / 隔離政策 / らい予防法 / 偏見差別 / 家族訴訟 / 聞き取り / ライフストーリー |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、基盤研究(C)研究課題「ハンセン病問題の最終局面に現前する諸課題への社会学的接近」の最終年度にあたる。この5年間はコロナ禍にわざわいされて、わたしのような根っからのフィールドワーカーにとっては受難の年月であったが、ジタバタするのを諦めて、これまでの調査の蓄積を最大限活かして、研究成果を文字に書き留め、ハンセン病問題をはじめとしてさまざまな社会的差別の問題に関心を寄せる人びとへの研究成果の社会的還元にひたすら努めることとした。 4月には、「偏見差別をなくしてほしい ハンセン病問題にみる人生被害」と題する月刊誌『部落解放』連載の第25回が最終回となり、ただちに単行本化の作業に入って、9月には『聞き取り もうひとつの隔離――ハンセン病療養所附属保育所に収容された子どもたちの人生』(解放出版社)として上梓できた。 さらに、一般社団法人千葉県人権センターの『月刊スティグマ』には隔月での寄稿を続け、また、(ハンセン病療養所)菊池恵楓園入所者自治会の月刊誌『菊池野』の2024年3月号からは、依頼によって「偏見差別とは何かを考え直す」の連載の寄稿を始めたところである。 また、日本解放社会学会内に組織された「ハンセン病問題研究会」の一員として、ハンセン病問題に関する計量的意識調査を実施、その成果を9月に関西学院大学で開催された第39回日本解放社会学会大会の「テーマ部会:ハンセン病問題の予備的意識調査」で、「ハンセン病に係る『差別的態度』の表出を支えているものは何か」と題して報告した。この意識調査研究の成果については、『熊本日日新聞』2023.8.28と『朝日新聞』2023.10.2(神戸版)で報道された。 以上、5年間の調査研究の最終年として、やれるだけのことをやり抜いたとの実感がある。
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