2021 Fiscal Year Annual Research Report
「8050問題」の実態調査およびライフステージに応じた効果的支援策の研究
Project/Area Number |
19K02130
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
川北 稔 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (30397492)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 8050問題 / 社会的孤立 / ひきこもり / 生活困窮者 |
Outline of Annual Research Achievements |
3年間の研究期間のうち最終年度に当たる2021年度は、過年度から引き続き、(1)一般の市民を対象とする質問紙調査と、(2)支援現場で把握される対象者に関する調査を進めた。 (1)一般の市民を対象とする調査として、愛知県A市の市民を対象に質問紙調査を実施した。従来の「ひきこもり」や「無業者」を念頭に置いた質問項目に加え、幅広い社会的孤立に関する項目について質問紙を作成した。15歳から64歳までの男女3,600人を対象に郵送により調査を依頼し、1,741人から回答が得られた(回収率48.4%)。 単純集計の結果、「ひきこもり」概念に相当するような外出の乏しい層は約3%、非就業層は3.4%、会話が乏しい層(会話の頻度が2週間に1回以下)は約1%、両親のいずれかと同居し生計を依存すると考えられる層が40代で7.0%、50代で3.5%などとなった。詳しい分析は今後の課題となるが、当初の研究計画で意図した若年層と中年層における社会的孤立の比較に関しては、20代の移行期における困難が40代・50代の孤立に関連する一方、特に男性においては中年期以降の独居が孤立をもたらすことが示唆された。各ライフステージに由来する困難の特徴や、双方の関連についてさらに検討を進めたい。 (2)支援現場の調査として、本研究全体として生活困窮者の相談窓口、地域包括支援センターでの調査を予定していた。生活困窮者の調査については2020年度に実施した「死亡事例・命の危険事例」に関する調査のうち、死亡事例に関してクラスター分析などによる検討を加えて論文として執筆した。その他の窓口については新型コロナウイルスの影響により調査の困難が続いたが、愛知県A市における調査の一環で支援者(家庭児童相談室、障害者相談支援センター、地域包括支援センター)を対象としてひきこもり事例に関する調査を実施、33事例に関するデータが集まった。
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Research Products
(2 results)