2020 Fiscal Year Research-status Report
The Social History of Modern Coal Miners in Kyushu and Hokkaido: Intersectionality Structure of Ethnicity, Gender and Class
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19K02134
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
徐 阿貴 福岡女子大学, 国際文理学部, 准教授 (90447566)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 和美 名古屋学院大学, 外国語学部, 講師 (90826562)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 炭鉱労働 / 朝鮮人 / 女坑夫 / 囚人 / ジェンダー / 植民地 / 歴史社会学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は史料調査を中心に研究を進めた。国会図書館、在日韓人歴史資料館、東京ウィメンズプラザ図書資料室、九州歴史資料館、福岡県立図書館、飯塚市立図書館にて史料収集を行った。明治期における北海道での炭鉱労働と囚人労働の交差点に関しては、3つの柱のうち、①囚人労働とはどのようなものだったのか、歴史と労働の実態を把握する。③1903年の北海道での全面廃止、もしくは、大牟田の場合、1930年に向けて誰がどのような方法で囚人労働環境改善や廃止に貢献したのかに焦点を絞った。①については、炭鉱労働は、囚人労働における外役を代表する労働であったが、その詳細を史料から読みとり、同時に監獄内の他の作業(内役)を比較検討した。そうする事で、明治社会における「国家衛生論」を反映させながら、身体(病を含めた)の差異やジェンダーの差異により、労働が割り当てられ、その中でどの身体が理想とされるのか、身体・ジェンダー規範(いわゆる「囚人階級」)が監獄内でも構築されている様子が浮き彫りになった。③については、先行研究に関する調査を進め、特に医師を始めとした医療関係者の貢献について囚人労働環境改善の運動の中では研究がなされていない点が明確になった。筑豊炭鉱における労働編成に関しては、戦間期と戦時下で大きく変容した朝鮮人移入者、および同時期の女坑夫に関する統計および労務管理に関する史料を調査した。採炭方法の変化、鉱夫労役扶助規則改正による女性坑内労働の衰退、戦時体制下の女性坑夫復活と労務動員計画による朝鮮人使用拡大における労働再編において、どのような民族およびジェンダー規範が表れているか、分析検討を行っている。 共同研究の進捗状況、学会報告に関する会議を行った(10月11日、3月26日)。 北海道の囚人労働に関してはジェンダー史学会「パンデミック期に再考する社会運動―フェミニスト歴史学者の視座から」部会で成果報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの影響により調査計画を大幅に変更せざるをえなくなった。戦時期を知る高齢の方へのインタビュー調査は保留とし、制約を受けながらも史料調査を集中的に行った。
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Strategy for Future Research Activity |
収集史料の整理分析を継続し、保留中のインタビュー再開をめざす。周辺に位置づけられた囚人、朝鮮人、部落出身者、女性の状況から、近代炭鉱におけるジェンダー、民族、階級による労働編成の検討を深めたい。2022年に延期されたAsian Studies Conference Japan (ASCJ)でのパネル報告、およびシンポジウム開催を目標に準備を進める。学会発表を元に論文執筆と出版を行い、最終年度に向けて成果発表に注力する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス蔓延により図書館等での資料調査やインタビュー調査に大幅な支障が生じた。またパネル報告を予定していた国際学会がキャンセルされたことにより旅費の未使用額が生じた。この分については、2021年度の調査研究、学会発表、論文刊行に必要な費用に充当する。
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Research Products
(2 results)