2019 Fiscal Year Research-status Report
障害のある子どもを持つ海外邦人家族の20年:エコカルチャー理論を用いた縦断研究
Project/Area Number |
19K02154
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 圭子 東京大学, 相談支援研究開発センター, 特任講師 (60534435)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | エコカルチャー理論 / 家族 / 文化比較 / 障がい児 / 発達障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本調査では、1995年~1998年に渡ってUCLA Neuropsychiatric Instituteのアジア系家族プロジェクトで行われた、障害児を持つ在米日本人家族の20年目のフォローアップ調査を行う。これまでの研究報告で、家族の生活構築や機能が、文化によって影響されることを示す研究が欧米では多く行われている。一方、日本では海外で暮す障害・発達障害の子どもを持つ邦人家族の学術的研究報告は非常に少なく、特に本研究のような長期に渡っての縦断研究での報告は皆無といってよい。海外在住、あるいは海外から帰国した、障害のある子どもを持つ家族のニーズや一時点での実態を適切に把握するだけでなく、長い時間の中でそうした家族がどのような経験をしながらどのように変化し適応してきたのか明らかにすることで、本邦の家族研究や障害支援に大きな貢献をすることができる。この調査は、1995年~1998年の米国での調査当時、障害を持つ子どもが学童であった海外邦人家族の、同一個人への継続調査であり、初回調査から約20年を経た現在まで、子ども達が成人し、家族メンバーの加齢に伴う老年期というライフコースをたどる間、どのような変化やプロセスが家族にあったのか、ていねいに聞き取る。家族は何に成功し、満足しているのか。それは何故か。また、何に失敗・後悔し、どうしたら良かったと振り返るのか。同一家族への継続調査をすることで、家族の回答の変化、特に目的変数に及ぼす説明変数の寄与を調べる。こうした長期的な縦断調査を行うことで、コホート研究では明らかにできなかった関連性を浮かびあがらせることができる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1995年~1998年当時の本インタビュー調査は、UCLAのNeuropsychiatric Instituteで行われたものである。その時のプロジェクト責任者である、Dr. Thomas Weisner(現、UCLA Neuropsychiatric Hospital / UCLA Department of Anthropology)とのミーティングを設定していた。今回の縦断的インタビュー調査で採用する変数の確認、インタビュー調査方法のマッチング、分析法、UCLAからのデータ開示などについて話し合う予定であった。 また、今年度は、約1年かけて、米国、カリフォルニア州において、1995年当時、ロサンゼルスでインタビューを行った家族とのコンタクト、インタビュー承諾、謝金の打ち合わせなど、当時からロサンゼルスを拠点に活動している、障がいを持つお子様を持つ家族の自助団体である、「手をつなぐ親の会(JSPACC: Japanese Speaking Parents Association of Children with Challenges)」の会長、及びコーディネーターの方のご尽力により、今回のインタビューに応じてくれる家族とのアポイントメント等、スケジュール調整を行い、3月に米国でインタビュー調査を行う予定を組んでいた。しかし、3月、コロナウィルスのパンデミックにより、現地のインタビュー参加者数名から、対面でのインタビューに懸念が出ている、との事で、親の会との何度かの協議の末、今年度のインタビュー調査を断念した。また、同時に、Weisner博士とのミーティングもキャンセル(延期)となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
3月に予定していたインタビュー調査については、今年度9月に渡米して行うということで調整が進んでいる。今年度行う予定であった分は、取り戻せる予定であるが、コロナの情勢による。国内調査については、予定通り、今年度に行っていく予定である(研究参加者と協議中)。
|
Causes of Carryover |
今年度3月に予定していた米国でのインタビュー調査が、コロナウィルスのパンでミックで延期となったため、翌年度に繰越となったため。
|