2021 Fiscal Year Research-status Report
地域社会におけるケイパビリティに基づく福祉行財政の基礎理論――自治と自立の検討
Project/Area Number |
19K02156
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
村上 慎司 金沢大学, 経済学経営学系, 講師 (80584359)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角崎 洋平 日本福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (10706675)
中倉 智徳 千葉商科大学, 人間社会学部, 准教授 (30586649)
堅田 香緒里 法政大学, 社会学部, 准教授 (40523999)
箱田 徹 天理大学, 人間学部, 准教授 (40570156)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ケイパビリティ / 地域社会 / 福祉行財政 / 自治 / 自立 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の研究実績について、これまでの研究会の議論の蓄積を活かして、以下のような研究成果があった。まず、2020年度に研究代表である村上が企画し座長を務めた日本医療福祉政策学のシンポジウム『地域医療・福祉の実践――達成と今後の課題』の座長論文が2022年5月に刊行された。同論文は、ローカル・ボトムアップ型医療福祉政策の基盤形成に関する研究の必要性を述べている。 こうした研究における理論的側面に関する概念として、本研究課題はアマルティア・センによるケイパビリティの下位概念であるエージェンシー的自由に注目してきた。その概念を、理論的に考察したものが2021年11月に開催された第94回日本社会学会の報告「自律の社会的決定要因と認知資源配分――「市民」に必要な能力は何か(3)」であり、SDGsへのインプリケーションを論じたものが2021年9月に開催された共生社会システム学会2021年大会の報告「SDGsの経済哲学序説――ケイパビリティ・アプローチから」である。 次に、今日の福祉行財政を検討するためには、所得保障の再考が不可欠である。そこで、ネオリベラリズムの推進、逆に対抗という正反対の立場がありうるベーシック・インカムを取り上げた。村上は本研究課題の分担研究者ではないが、ベーシック・インカムの専門家である齊藤拓氏と共同報告で、2021年8月に開催された22nd of Basic Income Earth Network Congressにおいて、「Characterizing Basic Income as Sufficientarianism is Misleading」という論題で報告した。また、分担研究者の著書である堅田香緒里(2021)『生きるためのフェミニズム――パンとバラと反資本主義』タバブックスにおいても、ベーシック・インカムは言及されている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度に予定していた研究会を十分に実施することができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
不十分であった理論研究をより一層推進させるために、これまでに研究協力者として参加していた橋口昌治氏を新たに研究分担者に追加させる。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染対策のため、調査が実施できず、次年度使用が発生した。理論研究のための図書費用を増やす計画である。また、今年度に延期されている調査研究も計画している。
|
Research Products
(5 results)