2019 Fiscal Year Research-status Report
国際関係の構造的変動と日本の立ち位置の変遷が医療保険制度の展開に与えた影響
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19K02157
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉田 米行 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 教授 (00216318)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 医療保険制度 / 国際関係 / 人工知能 / ビッグデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「国際関係の構造的変動とその中における日本の位置づけ」が「日本の国家政体の変化」をもたらし、「日本の国家政体の変化」と「日本医療保険制度の展開」との間に共振的連動性がある、という仮説を実証的に検証することである。最初に、「国際関係の構造的変動とその中における日本の位置づけ」に関して研究を進め、その1つの成果として、神田豊隆『冷戦構造の変容と日本の対中外交――二つの秩序観 1960-1972』(岩波書店、2012年2月)の英訳を刊行した。英訳することで、細かい点まで読み込み、特に注釈で示されている資料を調査することができた。さらに、ビッグデータや人工知能が日本の位置づけに与える影響を調査している。その成果の一部として、国際シンポジウムで以下の研究発表を行った。Yoneyuki Sugita, “The Japan Paradox: Artificial Intelligence in Japan,” Asia-Pacific Studies Meeting, Osaka University, 9 June 2019 従来、全く別の学問分野だと考えられていた国際関係分野と医療保険(社会保険)分野を「日本の国家政体の変容」という媒体を介すことで融合させ、日本を取り巻く国際関係と医療保険制度の展開を包括的に理解しようとするところに本研究の学術的な特色・独創性がある。そうすることで、内政と外交を有機的・統合的に理解できるようになり、従来の研究成果の基礎の上に包括的な見方を提供できる可能性という大きな意義がある。また、このような実証に基づく歴史研究を踏まえて、日本医療保険制度の将来的提案を模索してみたい。そのための第1歩として、国際関係における日本の位置づけに関する調査を行うことに大きな意義があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は、国際関係の中における日本の位置づけと医療保険制度の関係を分析するにあたり、「日本の国家政体の変化」だけを考えていた。しかし、研究を進めるうちに、ビッグデータや人工知能という概念を取り入れることによって、日本が進もうとしているSociety5.0との連関性も見出すことができるようになった。Society5.0を中間軸とすることで、国際関係における日本の位置づけと医療保険制度の連関性をさらに吟味することができるという新しい知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
国際関係の中における日本の位置づけと医療保険制度の関係を分析するにあたり、「日本の国家政体の変化」およびSociety5.0を中間軸として研究をさらに進める予定である。
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Causes of Carryover |
外国から研究者を招へい、小生が海外資料調査に行く予定をしていたが、新型コロナウィルスの影響ですべて中止せざるを得なかったため。次年度にこの計画を延期する予定である。
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