2019 Fiscal Year Research-status Report
知的障害者のグループホームにおける成年後見制度利用の実態と支援モデルの開発
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19K02158
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
古井 克憲 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (10553018)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 知的障害者 / グループホーム / 成年後見制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、グループホームで生活する知的障害者の成年後見制度の利用実態を明らかにし、支援モデルを開発することである。 2019年度は、「知的障害者のグループホームにおける成年後見制度の利用:実態解明・権利擁護に向けての予備的検討」をテーマに日本社会福祉学会全国大会でポスター発表として研究成果を公表した。この研究では、申請者がフィールドワークをしている2法人での成年後見制度の利用状況の共通点(①親族によるケアの限界、親族後見の限界、②専門職後見の業務への評価と期待、③地域生活での金銭管理)を明らかにした。グループホーム居住者の後見制度利用の課題として、居住者本人の「参画」と、居住者と事業者、後見人とで、居住者の豊かな地域生活に向けたイメージを「共有」することが挙げられる。居住者と事業者との意見や価値観の相違は、居住者の豊かな生活に向けて対話につながる可能性もあれば、居住者が両者の板挟みになり困難な状況に陥るリスクがある。現実的な方策として、サービス等利用計画や個別支援計画への障害者本人及び後見人の参画について検討する必要があると示唆した。 上記のほか、本年度には、グループホーム事業者・後見人・居住者とその親、それぞれに対して質的調査を行うに当たっての研究倫理の検討を行い、所属機関の倫理審査委員会の承諾を得た。さらに、諸外国の動向を知るためニュージーランドの視察を実行することもできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね研究計画にそって研究を遂行することができた。研究成果を公表できたことはもとより、テーマに関する文献収集や支援現場へのフィールドワークも継続的に実施できた。研究・調査倫理についても検討することができた。以上より、これからの研究を円滑に進める準備を整えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の成果を活かし、研究計画に基づいてフィールドの状況を見ながら、調査を慎重に進めていく。具体的には、グループホームで後見制度を利用している居住者のケーススタディ(事業者・居住者・後見人・親などへの聞き取り等)を積み重ねていく。さらに、グループホーム運営事業者の立場からみた、知的障害者の成年後見制度利用に関する実態と課題を、学術論文として公表する。
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Causes of Carryover |
本年度は、大学で改修工事があり、仮研究室を割り当てられたものの、パソコン等の物品は、改修後の正式な研究室に移転後に購入するようにしたため。なお、本年度は、次年度に予定していた海外視察を、現地との調整等の準備が整ったため行うことができた。
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Research Products
(1 results)