2021 Fiscal Year Research-status Report
知的障害者のグループホームにおける成年後見制度利用の実態と支援モデルの開発
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19K02158
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
古井 克憲 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (10553018)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 知的障害 / グループホーム / 成年後見制度 / 権利擁護 / 意思決定支援 / 質的調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、グループホーム(GH)で生活する知的障害者の成年後見制度の利用実態を明らかにし、支援モデルを開発することである。 2021年度の主な成果は、①日本社会福祉学会でのeポスター発表(「知的障害者の成人期以降における社会的支援の現状と課題:家族から社会へのケアの移行」)、②フォーラムでの講演(和歌山大学特別支援教育フォーラム2021年9月29日「パーソン・センタード・プランニングと意思決定支援:背景と基礎的内容」)を行った点にある。とくに①では、知的障害者の成人期における家族から社会へのケアの移行に焦点を当て、日本の社会的支援の現状について整理・考察した。具体的には、Lindahlら(2019)が「親・きょうだいからみた知的障害者に対する将来の長期間に渡るケアプランニングの要素」として抽出した①住まい、②法律上の手続き、③主となってケアする人の確認、④金銭・財産の計画、⑤毎日のケア、⑥医療のマネジメント、⑦移動手段を研究の視点として現状の整理を行い、パーソン・センタード・プランニングの観点から考察を加えた。その結果、「法律上の手続き」「金銭・財産の計画」での社会的支援として成年後見制度が該当することを確認した上で、「医療のマネジメント」は家族中心で行われており、「医療同意」については成年後見人の業務の対象外であり、社会的に代替する仕組みが未整備な領域である(村岡 2020)ことを再確認した。 さらに2021年度は、上記及びこれまでのフィールドワークをもとに、GHにおける成年後見制度利用の今後の課題を「医療同意」を視野に入れた意思決定支援とし、Watsonら(2017)による支援付き意思決定モデルをもとに検討を進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フィールドワークを継続的に行っており、グループホーム(GH)事業者の立場からを主とするものの、本研究のテーマであるGHでの知的障害者の成年後見制度利用の実態と支援モデルの開発に向けて、家族から社会へのケアの移行や「医療同意」にまで視野を広げて検討することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果を活かし、研究計画に基づいて、コロナ禍にあるフィールドの状況を見ながら、調査を慎重に進めていくとどうじに、Watsonら(2017)の支援付き意思決定モデルをもとに、日本の現状にそった支援モデルについて検討することを目指す。
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Causes of Carryover |
前年度に続き、新型コロナウイルス感染予防の影響で、予定していた学会参加や学会発表がオンラインになったり、データ分析や資料整理を自分で行えるよう調整したりしたため次年度使用額が生じている。研究計画に沿って使用するとともに、研究を進めることによって必要となった海外文献や物品の購入について検討する。
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Research Products
(1 results)