2021 Fiscal Year Research-status Report
Inclusive Approach as a research methodology
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19K02160
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Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
森口 弘美 天理大学, 人間学部, 准教授 (10631898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠原 千絵 上智大学, 総合人間科学部, 准教授 (60434966)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | インクルーシブリサーチ / 知的障害者 / ライフストーリー / ビジュアルナラティブ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究事業は、知的障害者が共同研究者として研究のプロセスに参画するインクルーシブリサーチを学術的な観点から検証することをとおして、インクルーシブアプローチという方法論の提示を目指すものである。 本年度は、知的障害者のライフストーリーをビジュアルナラティブの考え方に基づきマンガで発信する「リサーチ③」に取り組み、成果物として「ぼくの人生―中西正繁、リサーチャーになる」および「イアン・デイビスの人生」、さらにそれぞれの英語版のマンガを制作した。このリサーチ③は、民間の研究助成金を受けて実施したものであり(成果物の一部および翻訳は、本科研事業として実施)、本科研の事業としては、この取り組みをインクルーシブリサーチの観点から評価・検証することになる。本年度においては、マンガの主人公である当事者の協力を得て、福祉事業所や大学の授業で発表を行った。評価・検証については現在取り組みを進めているところで、2022年度以降も引き続き発表の機会を作り、評価・検証に取り組んでいく予定である。 このほか、研究分担者(笠原千絵)は、リサーチ①「しょうらいのくらし調査」の成果の普及に取り組み、知的障害者によるインクルーシブリサーチの成果報告が障害の理解に与える影響について分析した。また、研究協力者(松田美紀)は、2019-2020年度に障害者福祉事業所において取り組んだ当事者との研究活動を、当事者と一緒に学会で発表した。 本事業の最終目標である方法論の確立に向けては、本年度当初にはインクルーシブリサーチをテーマとした書籍の出版をめざしていたが、研究会等の開催や議論を進めることができず、2022年度以降に進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
リサーチ①「しょうらいのくらし研究」の検証、およびリサーチ①とリサーチ②「英国との共同研究」を踏まえたリサーチ③を計画・実施することができた。一方で、リサーチ②と③については検証が不十分で、本事業の目標としている研究方法論の検討を進めることができなかったことから、進捗状況としてはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度中に、リサーチ②と③の検証を進める。とりわけリサーチ③については、成果物としてライフストーリーマンガが完成したことから、発表の機会を作り、ライフストーリー研究やビジュアルナラティブの視点からも検証を進めたいと考えている。
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Causes of Carryover |
リサーチ③について、学会等で発表を行う予定であったが、成果物の完成がやや遅れたことで、発表や検証が十分にできなかった。また、インクルーシブリサーチを検証する研究会を行う予定であったが、予定どおりに進めることができなかった。次年度において、学会発表や研究会を行っていきたいと考えている。
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Research Products
(3 results)