2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K02167
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
早坂 聡久 東洋大学, ライフデザイン学部, 准教授 (20328917)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 社会福祉法人 / 経営志向性 / 地域における公益的取り組み / 経常増減差額 / 事業継承 |
Outline of Annual Research Achievements |
社会福祉法人は、零細法人が極めて多い一方で、サービス活動収益が10億を超える法人も約10%あり、児童福祉分野では保育所、高齢者福祉分野での特別養護老人ホーム経営法人が多いものの、救護施設、児童養護施設、養護老人ホーム等の措置費支弁施設を運営している法人もあり、求められる社会的役割も異なる状況となっていることから、社会福祉法人の経営実態と経営戦略や経営指向性を明らかにすることは、今後の社会福祉法人制度を検討するうえでも意義があるだけでなく、学術的にも希少性が高い。そのため、本研究の目的は、そういった社会福祉法人の経営実態と多様な経営状況を実施サービスと規模等から分類し、その対比から今後の経営志向性の類型化を試みるものである。 分析については、まず、約20,800法人の現況報告書及び財務諸表を公表する社会福祉法人財務諸表公表システムにより、2017年度及び2018年度の決算書から社会福祉法人の経営状況について分析した。社会福祉法人財務諸表開示システムに公表されるデータの分析は少ないこともあり、経営実態について多くの知見が得られた。 2020年度には、全国の社会福祉法人のうち、社会福祉協議会・社会福祉事業団等を除く3000の施設経営法人を無作為に抽出し、郵送法による自記式質問紙調査を実施した(有効回答427件)。調査項目は、①法人概要、②役員・職員、③法人設立時の類型及び現況の類型、④事業収益状況・財務状況(新型コロナウィルス感染症の影響を含む)、⑤地域における公益的取り組み、⑥法人設立時の経緯、⑦今後の事業継承の見通し、⑧社会福祉法人の経営意向、⑨今後の事業展開、⑩経営リスクと展望などである。調査結果は、2021年度に学会発表と論文投稿を予定している。また、2021年度には、社会福祉法人の経営者(理事長・業務執行理事等)について、インタビュー調査を行う方向で調整している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度末から2020年度当初に予定していた社会福祉法人への郵送調査については、新型コロナウィルス感染症の蔓延による緊急事態宣言によって調査時期を先延ばしにしたことで、進捗状況に遅れが生じた。その間、社会福祉法人財務諸表公表システムに公開される社会福祉法人の現況報告書及び財務諸表について、すでに徴していた2017年度決算に加え2018年度決算分の全件のデータから経営状況の分析と類型化を行った。なお、予定していた社会福祉法人(3000法人)へのアンケート調査については、感染状況の推移を見守りつつ2020年度中に実施することができた。 2021年度については、回収した調査結果の分析を行いつつ、社会福祉法人の理事長・業務執行理事等の経営者に対するインタビュー調査を実施する予定である。その際、当初予定していた対面調査については、新型コロナウィルス感染症の蔓延状況を勘案しつつ、対面ではなくZOOMやWebex等のツールを用いた非対面での実施も検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度実施予定としているモデル化された社会福祉法人のうち、二次調査の協力を得られる法人の経営者(理事長・業務執行理事等)に対するインタビュー調査については、非対面なども視野に入れつつ、早い段階で実施したいと考えている。
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Causes of Carryover |
2020年度当初にアンケート調査を行うとともに、年度内に質的調査(社会福祉法人へのアンケート調査)を実施する計画であったが、新型コロナウィルス感染症の蔓延により緊急事態宣言が出され、また、第二波・第三波とクラスターが多く発生している社会福祉施設へのアンケート調査や訪問でのインタビュー調査の実施の時期を模索する中で、予定していた調査が遅れてしまった。 アンケート調査については2020年度末までに実施したが、インタビュー調査及び追加調査が2021年度にずれてしまった。最終年度となる2021年度では、なるべく早い時期に追加調査を実施し、研究成果を導きたいと考えている。
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