2023 Fiscal Year Research-status Report
高齢者虐待による死亡事例等における検証の実施状況と活用に関する調査研究
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19K02168
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山田 祐子 日本大学, 文理学部, 教授 (90248807)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 高齢者虐待 / 虐待 / 死亡 / 検証 / 介護殺人 / ソーシャルワーク / 権利擁護 / 地域包括支援センター |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度においては、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響から、研究計画の大幅な変更の作業を行った。研究計画の見直しについては①2022年度に実施予定であった全国の都道府県、市区町村の高齢者虐待防止主管課への質問紙による郵送調査とそのテータ分析および、訪問面接調査の実施を2023年度に行うか、もしくは②新型コロナウイルスの感染拡大の影響を鑑み、調査は実施せず、申請者が2019年度に実施した全国調査等の調査データの再分析を実施するという計画に変更するか、検討を行った。研究計画を再検討するにあたって、まずは、本研究のテーマは、高齢者虐待による死亡事例等における検証の実施状況と活用に関して、調査研究を通して分析することであるので、調査実施した場合、得られた調査研究データについて、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響について、分析においてどのように位置づけるかについて、検討を行った。コロナ下において、①医療現場の崩壊の懸念や、日常生活において不可欠であるエッセンシャルワークと言われる介護職員への影響が甚大であることが推察され、養介護施設従事者等による高齢者虐待の死亡事例等は大きな影響を受けると思われること、②関係専門職の多忙さから検証の実施状況が影響を受けている可能性があること、等から、本研究の目的である検証の実施と活用状況についての調査の実施は、コロナ下の影響が大きく、調査研究データの収集が困難のみならず、得られた調査データを通して明確な分析を試みにくいと思われる。従って、そのような影響のない調査データを活用し分析を試みることとした。そのため、申請者が2019年度に実施した全国調査等の調査データの再分析を行うこととし、調査計画の変更と見直し作業、およびデータの分析計画を立案することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の拡大と収束状況の本研究テーマへの影響から、2023年度においては、研究計画そのものについて大幅な見直しと変更を行った。当初計画をしていた全国調査を断念し、新型コロナウイルス感染症の拡大と収束について影響のない調査データを活用し分析を試みることとした。具体的には、申請者が2019年度に実施した全国調査等の調査データの再分析を行うこととし、調査計画の変更と見直し作業、およびデータの分析計画を立案することとした。そこから得られた知見から、本研究テーマについて将来的にさらに研究を発展させていく予定である。 なお調査データの分析計画については、現在の時点では、できる限り分析データの事例数を多く確保したいことから、2019年度に実施した全国調査の調査データの分析では十分な分析ができない場合も想定し、研究代表者が過去4回にわたり科学研究費を使用して行った全国調査(調査対象期間:全都道府県・政令市・市町村の悉皆調査および地域包括支援センター2000カ所)のデータについて、分析対象のデータとして活用する検討と研究計画、データ分析計画を検討することも検討している。 また、データチェックと再集計作業についてシンクタンクに業務委託することも視野に入れていたが、時期等の調整が遅れたことや、分析については、手法について質的分析も検討対象としたので、申請者がデータ分析作業を行う計画に変更をした。 また本研究においては、高齢者虐待による死亡事例等という、きわめて社会における重要かつ深刻な課題を扱うとともに、得られた調査データについては、非常に慎重に扱う必要がある。従って、データの分析方法や解釈について妥当性、信頼性が求められるため、引き続き高度な専門性をもつ第三者に助言を依頼し、現在、調査項目のチェックと分析方法の見直し作業を行う予定でいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度においては、①既存の調査データについて、どれを用いるか(2019年度データのみとするか、過去4回の全国調査のデータ分析を行うか等)分析対象を決定すること、そのための調査データの確認作業を行うこと、②研究計画を精査し、新たに詳細な研究計画、データ集計計画およびデータ分析計画を作成すること、③データ分析作業の実施、④執筆と調査研究報告書の作成、を行う予定である。 特に本研究においては、調査データが、量的分析、質的分析ができるような調査票の作成を企図した。したがって、適切なデータ分析手法を精査することとし、引き続き専門家の助言とチェックを受けながら、分析作業、執筆作業を行う予定でいる。推測統計の方法、記述統計の方法、データマイニング等、多様な分析方法や質的分析を模索、検討する。 なお、本研究テーマは高齢者虐待による死亡事例等ということから、得られた調査データについては、非常に慎重に扱う必要があるので、研究倫理とともにデータの公表の際の注意点等についての助言を受けながら、再検討を行う。具体的なデータ集計デザインについては、過去4回の調査で用いた実際の調査票の設問について、再確認を行い、研究倫理等で先行する研究分野である医学分野の統計手法や臨床研究としてケーススタディも参考にしながら、質的な研究データの取り扱いや分析、評価ツールについても検討を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、研究計画の大幅な変更を行った。 2022年度の段階では、2022年度に実施予定であった全国の都道府県、市区町村の高齢者虐待防止主管課への質問紙による郵送調査とそのテータ分析費用および、訪問面接調査の費用については、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を鑑み、実施の再検討を行うこととし、2023年度以降の調査実施費用(全国調査および訪問面接調査)とそのデータ分析費用もしくは、調査実施を行わない場合、申請者が2019年度に実施した全国調査等の調査データの再分析費用に充てることとした。 2023年度においては、検討の結果、前項調査等の実施はコロナの5類移行で、行政および高齢者福祉関係機関は、多忙を極めていると推察されるとともに、調査実施した場合、得られた調査研究データについて、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響について、分析においてどのように位置づけるかについて、現在検討継続をしているところである。そのため、全国調査の実施は断念し、申請者が2019年度に実施した全国調査等の調査データの再分析費用に充てることとした。また研究計画の見直しにあたり、分析対象の調査データは2019年度調査のデータのみ活用するか、さらにそれ以外の過去の科研費での調査データも追加するかは検討中である。いずれにせよ、使用計画としては、引き続き、再分析費用に充てる予定である。
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