2021 Fiscal Year Research-status Report
デンマークのアクティベーション改革と支援組織の変容に関する研究
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19K02173
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
嶋内 健 立命館大学, 産業社会学部, 授業担当講師 (70748590)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アクティベーション / デンマーク / 就労支援 / 基礎自治体 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、おもにデンマークの地方行政に関する学術文献の収集を行った。デンマークは2007年に大規模な地方自治体改革を実施し、基礎自治体の合併、カウンティの廃止などを含めた地方分権化を進めたことは比較的知られている。本研究課題が対象としているアクティベーション政策の改革もまた、自治体改革の文脈からとらえれば、その一環として実施されたとみることができる。なぜなら、合併により大規模となった基礎自治体(コムーネ)に公的雇用サービスの運用権限を委譲し、今日に至っているからである。 しかしながら、国のアクティベーション政策の改革によって、自治体から市民に届いている支援サービスの実態を考察すると、地方分権化というより中央集権化の要素が強くなっていることが今年度の研究で分かった。2019年度の本研究の成果は、この事を既に示唆していた。つまり「分権化」という大義名分のもとで、基礎自治体が中央政府の方針に従うよう「集権化」が図られていたのである。したがって、中央集権化の過程や構造に関連する地方行政の資料を収集した次第である。ひとまず明らかになったことは、地方分権改革の後、リーマンショックを契機として、基礎自治体であるコムーネおよび広域自治体であるレギオンの歳出を抑制するために財政規律を厳格化し、さらに集権化を強化した事実であった。国が歳出に上限を設け、歳出がこれを超えるとコムーネとレギオンに制裁を下すことができるようになった。この一連の動向は、基礎自治体が担う就労支援の内容や、担当部署の組織マネジメントに変化をもたらした可能性がある。 その他、自治体の首長、地方議会およびそのなかの各種委員会の役割り、行政組織の構造に関する資料収集も実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
引き続きコロナ禍によって、教育業務の負担が大きく、研究に要する時間を十分に確保することができなかった。また本年度は、上記の多忙により体調を壊し、研究から離れざるを得ない期間が数か月間続いた。さらに、本来は実施するはずの現地調査もコロナ禍にあって海外渡航自体が困難であったため断念せざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
一連の地方行政改革が、地方自治体の雇用担当部署や行政職員の行動原理に具体的にどのような変化をもたらしたのかを調べる必要がある。 来年度も調査が実施できるかどうか不明確だが、何とか現地調査を実施したい。調査対象候補は、①KL(全国のコムーネが結成する団体)、②地方議会の雇用委員会、③労働組合、④生活保護を受給する若者に就労支援を提供する教育機関、⑤NGOである。
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Causes of Carryover |
コロナ禍によりデンマークへの渡航ができず、旅費を使い切ることができなかった。次年度は、渡航が可能であれば旅費として支出する。その他、文献や資料収集に要する費用に充てる。
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Research Products
(1 results)