2022 Fiscal Year Research-status Report
デンマークのアクティベーション改革と支援組織の変容に関する研究
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19K02173
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
嶋内 健 立命館大学, 産業社会学部, 授業担当講師 (70748590)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アクティベーション / デンマーク / 社会政策 / 基礎自治体 / ソーシャルワーク / 行政組織 / 専門職 / 資格 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、中央政府によるアクティベーション政策の改革が、現場の第一線で支援を担う地方自治体の支援組織に、どのような変化をもたらしたのかを明らかにすることである。デンマークにおける社会調査をおもな活動内容として2019年度から始まった本研究は、コロナの影響によってようやく第1回目の現地調査を実施することができた。4つの異なる自治体の公的雇用事務所(ジョブセンター)と、その職員がおもに所属する2つの労働組合を訪問し、聞き取り調査を実施した。 失業給付や公的扶助を受給する直ちに就労が困難なクライアントのケースワークを担っているのが、ジョブセンターにおいてソーシャルワーカーもしくはソーシャル・アドバイザーの資格を有する職員である。したがって、まずこれらの資格と職務内容の違いについて聞き取りを行い、これら専門職の実態と事実を把握することが本年度の大きな目的だった。 職務内容については、資格の異なりによる違いはあまり無いことがわかった。しかし、前者はソーシャルワークの理論的な教育を高等教育(専門職大学校)で受けた若い年齢の職員が多く、後者は行政職員として一定のキャリアを積んだ職員が、継続教育を通して資格を取得している。したがって、後者は前者と比べて年齢層が高いことが分かった。労働組合へ実施した調査から、こうした特性の違いは、求職者を支援する現場において、職歴や人生経験が豊富な後者の方がより適切であるということがわかった。また、前者の資格取得を目指す学生にとって、おもに失業者をクライアントとするジョブセンターは、就職先としてあまり好まれないということもわかった。 ソーシャルアドバイザーの多くが所属している労働組合は、社会問題が複雑化しているので、これらソーシャルワークの資格をもつ専門職員の需要は高いが、現在のジョブセンターでは足りていないと認識していることもわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全期間で聞き取り調査を計4回実施する計画だったが、コロナ・パンデミックによって渡航の計画を立てることすらできなかった。今年度の終わりになり、ようやく第1回目の聞き取り調査を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
基礎自治体が実施するアクティベーション政策のプログラムに関わる諸団体に、聞き取り調査を実施する。
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Causes of Carryover |
コロナ・パンデミックの影響(海外渡航の制限)によって、デンマークでの聞き取り調査を実施できなかったため。来年度は1回または2回の現地調査を実施する。
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