2023 Fiscal Year Research-status Report
単身高齢者のためのインターローカル在宅看取りシステムの確立
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19K02176
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
堀江 尚子 畿央大学, 健康科学部, 教授 (50598943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 尚美 畿央大学, 健康科学部, 教授 (10425093)
葛西 リサ 追手門学院大学, 地域創造学部, 准教授 (60452504)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 単身貧困高齢者 / 在宅ケア / 看取り / デス・カンファレンス / 2.5人称の死 / インフォーマル・ネットワークの希薄化 / ケアギバーのケア / 孤独死 |
Outline of Annual Research Achievements |
貧困高齢者受け入れ住居型老人ホームでの看取りケアの実践と課題について検討を行った。看取りケアの現場で多職種に生まれるズレへの対応は課題である。看取りを積極的に受け入れる施設では、要介護度も高くなり、看護師の割合も高くなり介護士との連携は必須である。看取りケアに正解はないがチームでケアをする以上、共有すべきことがあり、すり合わせが必要と考えられている。その対応として調査で明らかとなった[葬儀参加のルール]はケアチームのすり合わせ装置として機能しているといえる。高松(2022)は答えのないゲームの戦い方の1つとして2つ以上の選択肢をつくり、選ぶということを主張する。絶対的な答えがないのだから、相対的に答えに近づいていくしかないという。[葬儀参加のルール]は行くか行かないか、選択することを求められる。そのことは多職種によるズレを総体的に共有可能な態度へ近づける。 スウェーデンの高齢者ケアの現地調査結果を「スウェーデン単身貧困高齢者の人生の最終段階のケアからの示唆」の論文にまとめた。研究の目的は、スウェーデン高齢者の人生の最終段階の居住現状において支援に関わる援助職の見解から、日本の貧困単身高齢者の看取りへの示唆を得ることである。スウェーデンで医療と福祉に関わる人 6名にインタビューを実施し意味解釈の分析を行った。結果としてスウェーデンの貧困、施設ケア、在宅ケアの現状知見が得られた。単身世帯の増加する日本で、高齢者の自己決定は尊重されつつも過度の在宅主義に偏ることなく人生の最終段階の居住地として、複数の選択肢があることが望ましい。また、施設ケアスタッフが経験する入居者の死は2.5人称の死であり、デスカンファレンスといったケアギバーのケアの必要性の認識が求められる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2023年に新型コロナウイルスは感染症法の5類に区分変更となったが、高齢者が関与する施設への調査は困難な状況が続いている。5類への区分変更によって、医療体制は行政の強い関与と限られた医療機関の特別な対応から、幅広い医療機関に自律的な通常の対応へと変更となった。それでも高齢者施設では小規模のクラスターは継続して発生しており、調査など外部者の施設への対地入りは受け入れられない状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
より小規模の組織に所属する医療ケアチームの構成員を対象に調査を実施する。具体的には訪問看護ステーション、介護支援事業所、地域包括支援センターなどで多職種の専門職に調査協力を求める。
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Causes of Carryover |
調査が予定通り実施できず調査による支出の計上がなかったためである。2023年当初は数か月後に新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に引き下げられる予定で、行動制限の大幅緩和も見込まれ、現地調査実施の受け入れ可能性も高いと期待を持っていた。しかしながら調査対象の施設では小規模クラスターが発生しており、外部調査を受け入れる体制となっていなかったことで調査が予定通り実施できなかった。
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Research Products
(2 results)