2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K02179
|
Research Institution | Wayo Women's University |
Principal Investigator |
清水 冬樹 和洋女子大学, 家政学部, 准教授 (80459833)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 当事者性 / 子ども・若者 / 東日本大震災 / 文化・風土 / 聞き出す研究への懸念 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は宮城県仙台市・南三陸町、岩手県山田町において子ども若者を対象としたヒアリング調査を実施することができた。それぞれの地域の文化・風土に対する想いが多く語られ、子ども支援においてあまり触れられてこなかった復興のポイントをつかむことができた。 また、東北で暮らす若者たちを対象としたイベントに関わることができた。なかなか震災のことを語る機会がなく、語る必要がないことや、気にしてこなかったことを多く耳にしてきた。しかし、話を聞いてくれる人がきちんといるからこそ、話ができるようになることに気が付き、そうした関わりを通じてこれまでとこれからの人生を彼ら自身が掴み取ることができるきっかけとなっていく様相も見られた、 この取り組みは、専門家と若者たちとの協同による企画・運営がなされたところに特徴があるが、そうした専門家が必ずしも各地域にいるわけではないことを踏まえると、ファシリテーターとその養成を起点とした場づくりを、各自治体の中で作り上げていくことが今後必要であることが仮説的に示すことができそうである。 一方で、若者たちの声を研究者が聞き出してしまうことへの懸念も見えてきた。今回筆者が関わったイベントは、彼らから「聞き出す」ものだったのかどうか、それは彼らの視点からの評価が必要となる。筆者らはそのつもりがなかったとしても、彼がそう捉えている可能性は否定できない。「聞き出す研究」への懸念を示している論文等は児童福祉領域においてほとんど見られず、どのような手続きを踏んでヒアリングを実施したのかがわからないものも、先行研究のレビューから見えてきた。こうした研究手法の課題についても論文としてまとめる必要があると考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
子ども若者たちへのヒアリングは順調に実施することができたが、支援者への調査はできなかった。しかし、筆者が2020年度より仙台の大学に異動することから、支援者調査が距離的には実施しやすくなることから、進展度には影響していないと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
支援者調査の実施と、上記に挙げた研究課題をまとめていく。同時にこれまで関わってきた調査結果を論文にしていく。 また、沿岸部の自治体における子ども・子育て支援事業計画において、若者支援や震災における子ども支援がどのように位置づいているのか分析していく。
|
Causes of Carryover |
謝金の使用が計画より少なかったのは、自治体施策の分析がスムーズに進まなかったためである。次年度においても引き続き自治体施策の分析は継続させる。その際の費用に今年度の残額は当てる予定である。
|
Research Products
(1 results)