2022 Fiscal Year Annual Research Report
M-MATとTelepracticeを応用した失語症治療システムの開発
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19K02180
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Research Institution | Kyoto University of Advanced Science |
Principal Investigator |
木村 航 京都先端科学大学, 健康医療学部, 准教授 (70782035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辰巳 寛 愛知学院大学, 心身科学部, 教授 (70514058)
関根 和生 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (60847002)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 失語症 / リハビリテーション / 治療理論 / 臨床的有用性 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、La Trobe大学のMiranda. L. Roseらによって報告されたMulti-Modality Aphasia Therapy(M-MAT)は、従来の失語症の治療法であるCI療法やPACE、ジェスチャー療法の利点を融合させたエビデンスレベルの高い最新の失語治療理論として注目されている。しかしながら、その日本語版は未だ作成されていない。 本研究では、本邦の医療社会制度に対応できるように改良した日本語版M-MAT(M-MAT-J)を開発し、その臨床的有用性を検証するとともに、失語症者と家族介護者の福利向上に寄与することを目的とする。最終年度は以下の研究を実行した。 昨年度に開発・作成した改良版のM-MAT-Jの治療用絵カードを活用して、小規模の臨床治験を実行して治験データを収集した。対象は脳卒中慢性期失語症者7例であり、Multi-Modality Aphasia Therapy-Japanese version (M-MAT-J) の臨床効果を得るため、3週間で12回、1回3時間(合計36時間)の短期集中スケジュールでM-MAT-Jを実施した。その上で臨床的有用性を確認するためのデータ分析を行った。 小規模の臨床治験において、慢性期脳卒中後失語症者の言語能力改善の有効性が示唆されたが、今後、さらなる有効性を検証するために追加の研究が必要である。また、M-MAT-J の主観的印象評価も全体的に高評価であり、離脱者も認めなかったことから、本邦においてM-MAT-J が広く汎用される可能性が高い。今後は本邦の医療・介護保険制度に適応できるように課題内容や実施時間,実施手法など関して再検討する必要がある。これらの成果についてはIALP(Auckland,2023)や日本言語聴覚学会(愛媛,2023)で発表予定である。
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