2021 Fiscal Year Annual Research Report
高齢化しつつある自閉症成人の家族が抱える負担についての多角的研究
Project/Area Number |
19K02186
|
Research Institution | National Hospital Organization, Kikuchi National Hospital |
Principal Investigator |
田中 恭子 独立行政法人国立病院機構菊池病院(臨床研究部), 臨床研究部, 医師 (30740154)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 自閉症 / 家族 / 高齢化 / 役割 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高齢化しつつある知的障害者や自閉症スペクトラムの者を介護する家族の負担や影響を与える要因を解明することである。 令和3年度は、施設に入所しているASD者の主な介護者である保護者に対して、電話でのインタビューを行った。対象は10名の保護者で、母親9名、姉1名、平均年齢は73.1(56~82)歳、子どもの平均年齢は48.6(38~53)歳である。 介護に関する変化としては、以前よりも子どもの行動の問題が減ったことで負担は減ったとする意見が全員から聞かれた。一方、保護者自身は高齢化に伴い、運転への不安50%が聞かれた。子どもの方も、運動や身体機能の低下、言葉数の減少、体重減少などの変化がみられるとの意見が30%あった。対象施設では過去2年間、COVID-19のため、子どもと関わり世話をする機会が制限されたが、40%の保護者はこれを機に頻度を減らす予定と話した。その理由としては、保護者も高齢化し良い機会だからとするものが多かった。ただ過半数は元通りの関わりそ希望しており、保護者自身がいつまで介護できるか分からないからこそ、できる限りのことをしたいと語られた。長期にわたる介護の理由としては、純粋に子どもがかわいい・会いたいとする親心理の他に、子どもを障害児に生んでしまった罪悪感が30%で聞かれた。今後については、できる限り長く関わりたいと希望しているが、自分の体力や健康、送迎のための運転への不安が述べられた。送迎の援助、保護者が迎えに行けなくなった場合の子どもへの余暇支援などの支援の希望が聞かれた。 一施設であり、協力的な保護者であるというバイアスはあるが、高齢化する保護者の心理の一端をとらえたものと考えられた。
|