2019 Fiscal Year Research-status Report
On the research on the relationship of volunteer transport workers consciousnesses, mental state and social capital
Project/Area Number |
19K02187
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
小熊 仁 高崎経済大学, 地域政策学部, 准教授 (00634312)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ソーシャルキャピタル / ボランティア交通 / 持続性 / 効率性 / 負の二項回帰モデル / マルチレベルモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ボランティア交通にかかる活動の詳細や運用面の特徴について文献調査等を通し考察を行った。とくに、ボランティア交通のなかでもボランティア従事者の獲得に悩む交通空白地有償運送に着目し、団体別の活動の全容や収入構造、ならびに全体としての持続可能性要因について、内閣府NPO法人ポータルサイトよりデータの得られた44のNPO法人を対象に分析を行った(分析対象年度は2018年度)。 分析の結果、44団体の収入財源のうち、最も高い割合を占めたのは補助金収入(36.8%)で、次いで、運送事業を除く事業収入(27.9%)、運送事業収入(25.9%)であることがわかった。一方、会費や寄付金はそれぞれ4.2%、2.7%に止まり、補助金や運送事業以外の事業への依存が高いという結果となった。その後、44団体の短期および中長期の持続可能性要因を明らかにするため、経常支出と正味財産収入比率を非説明変数とし、組織要因と組織を取り巻く社会要因を説明変数としてOLS回帰分析を試みたところ、その他の事業収入が経常支出と正味財産収入比率に対して1%有意で正の効果を及ぼし、一方で、運送事業収入は両者に対し1%有意で負の影響を与えることが判明した。このことから、NPO法人が事業を持続可能なものとするためには、運送事業収入以外の収入源を強化しつつ、事業を拡大していくことが必要であるとの示唆を得た。 以上に加え、44団体の経営面での効率性と財源調達面の効率性を検証するためにネットワークDEAを用い相対的な評価を行ったところ、両者ともに効率的と判定された団体は2団体のみで、残る42団体はいずれかの部門(もしくは両方で)非効率をかかえていることが明らかとなった。以上の一連の研究によりボランティア交通をめぐる団体の基礎的情報や経営状況を把握し、翌年度以降の本格的なアンケート調査の実施につなげることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ボランティア交通にかかる活動の詳細や運用面の特徴等の基礎的サーベイについて、効率性や持続可能性に関わる分析を含めて詳細に考察することができた。なお、本年度は群馬県高崎市倉渕地域のボランティア交通を対象に地区別、団体別および個人属性別の参加意識とソーシャルキャピタルの関係を分析する予定であったが、Covid-19の影響によってアンケートが延長となり、本年度予算の全てを次年度予算に繰り越すという結果となった。早期に解決策を検討し、翌年度の早い段階で調査が実施されるようにしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、ボランティア交通の運行において最も欠かせないボランティア従事者の参加意識とソーシャルキャピタルとの関係について、様々な心理的要素の存在を考慮し分析を行うことが目標である。研究の遂行にあたっては複数回のアンケートを行う必要があり、早期の調査実施が望まれるが、現在、Covid-19の影響によりアンケートの見通しが立たない状況である。郵送アンケートからWebアンケートへの変更、オンラインによるモニタリング実施など様々な選択肢を検討し、できるだけ早く解決策が見出せるよう検証を重ねていきたい。
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Causes of Carryover |
本年度は、ボランティア交通にかかる活動の詳細や運用面の特徴等の基礎的サーベイに加え、群馬県高崎市倉渕地域のボランティア交通を対象に地区別、団体別および個人属性別の参加意識とソーシャルキャピタルの関係を分析する予定であった。今年度予算は全てアンケート調査実施に伴う予算として計上していたものである。しかし、先にも述べたように、Covid-19の影響によってアンケートが延長となり、予算の全てを次年度予算に繰り越すという結果となった。現在、アンケートの見通しが立っていない状況であるが、郵送アンケートからWebアンケートへの変更、オンラインによるモニタリング実施など様々な選択肢を検討し、できるだけ早く調査が実施できるよう検討を重ねていきたい。
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