2023 Fiscal Year Annual Research Report
家族介護者の離職予防および仕事と生活の調和に関する研究
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19K02190
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
桐野 匡史 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (40453203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 啓子 香川大学, 医学部, 教授 (70249556)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 社会福祉学 / ケアラー / 介護離職 / 家族介護 / ワーク・ライフ・バランス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、家族介護者(ケアラー)が離職することなく、仕事と生活の調和を図るための知見を得ることをねらいに、家族介護者(ケアラー)の仕事と生活の実態および仕事と生活の調和等に関連する要因を明らかにすることを目的としている。 令和5年度(2023年度)は、前年度までに実施した調査データ(主に質問紙調査)を整理・分析し、その成果について取りまとめた。この取りまとめの過程で得られた成果のうち、主として「仕事をしている家族介護者(ケアラー)」の特徴に着眼すると、概ね半数以上の介護者が職場の人たちからソーシャル・サポートの受領が期待できること、また現在の職場環境(家庭と仕事の両立支援環境)に肯定的な回答をする者が多い傾向にあること、などが明らかとなった。他方で、介護(ケア)役割によって生じる職業生活(仕事)への影響は正負(被介護者の予定に合わせて仕事を切り上げる、介護の経験が職場や仕事の問題解決に役立つ、など)ともに認められ、介護を理由に離職を考えている介護者も約2割程度いることが明らかとなった。なお、自由記述の内容からは、在宅で介護しながら仕事、家庭生活、地域生活、個人の生活(私生活)など、生活全体の調和を図るために必要な支援として、「介護者と周囲の人々とのつながり」「仕事と介護の両立・調整支援」「専門機関・専門職による支援」「制度や仕組みの変革」などの記述がみられた。 研究期間全体を通して得られた知見として、広く家族介護者(ケアラー)がおかれている多様な状況を考慮し、生活全般を俯瞰的に捉えた多角的な視座からの支援が必要となることが示唆された。なお、本研究課題で得られた成果は今後も研究論文等で社会に還元していく予定である。
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