2021 Fiscal Year Research-status Report
社会的マイノリティへの偏見軽減要因の探索 無関心という壁を越えるために
Project/Area Number |
19K02191
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
玉利 麻紀 (平井麻紀) 高知県立大学, 社会福祉学部, 助教 (80573154)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 社会的マイノリティ / 偏見 / 無関心 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、長引くコロナ禍の影響により、本研究の拠点となる大学構内への部外者立ち入りや、対面型授業・イベント・会議等の実施に大幅な制限が課せられた。そのため、本研究で計画している「実験参加者を集合させての実験」の実施自体が難しい状況であった。この影響により、2021年度はコロナ禍でも実施可能な研究計画へと変更することに時間を費やした。 今年度までに実施した研究の進捗については、令和3年度「学校卒業後における障害者の学びの支援に関する実践研究事業」地域連携による障害者の生涯学習機会の拡大促進「共に学び、生きる共生社会コンファレンス まるのつどい」第3分科会「地域のつながりの中で学び続けることとは(テーマ:まぜこぜの場をつくる)」において、話題提供を行った(2022年1月12日から2月12日動画配信)。報告事項はこれまで自分が携わってきた研究や実施内容についてであったが、まだ研究2「マイノリティとの接触により『見える』ようになるのか? -接触方法の実験的検討」がパイロットスタディの段階であるため、データの公表は控えた。 一方で、2021年度は、今後の研究の展開に向けて、研究協力者との協力関係を構築することができた。すなわち、当事者活動を行っている民間団体が研究協力者として参加してくれることとなり、民間団体との連携体制のもと、障害者などの社会的マイノリティとの協働プログラムを実施する方向で準備を進めている。また、障害当事者を含む民間団体との協働を行うために、共同創造(co-production)の視点を大幅に導入し、「無関心という壁を超える」ためのプログラムを作成している。2022年度はオンライン等、実施可能な研究方法や研究計画について検討し、このプログラムを実施し、効果を評定し、「無関心という壁を超える」要因を探索する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
【研究実績の概要】でも述べたが、2020年度から始まったコロナ禍の影響により、研究実施自体に制限があり、研究の進捗は遅れている。そこで、2021年度はコロナ禍でも実施可能な研究計画へと変更することに時間を費やした。具体的には、研究1「マイノリティは『見えて』いるのか? ―選択的非注意と偏見との関連の検討」については、質問項目の検討やオンライン形式における実施について可能性を検討した。また、研究2「マイノリティとの接触により『見える』ようになるのか? -接触方法の実験的検討」、研究3「マイノリティとの協働は偏見軽減に影響するのか? -質的分析を用いた実践的検証」については、オンラインの活用も含む実施と、それに伴う要因の検討を行い、研究計画を変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍における接触効果や協働のあり方についても、柔軟に方法を検討することで、重要な知見が得られると考えられる。したがって、今後は、研究1だけでなく、研究2や研究3の実施を実行可能な形で具体的に進める。その際には、実験参加者の効果指標等だけに視点を置くのではなく、実験協力者(障害当事者等、社会的マイノリティ)の視点や、実験参加者との相互作用、社会参加や共生をキーワードに、指標化やモデル化を進める予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度は主に研究計画の変更と準備に時間を費やしたため、人件費・謝金は未使用であり、物品費の使用も控えた。また、話題提供等を行ったカンファレンスがオンライン開催であったため、旅費も発生しなかった。 しかし、次年度から研究計画に基づくプロジェクトを実施する予定であり、いよいよ使用予定であった物品費や人件費・謝金を使用する方向となった。具体的には、研究協力者への謝金、パソコンや資料・映像作成ソフトの購入、テープ起こし・資料整理に係る人件費、会議費、印刷費の計上が見込まれる。また、学会がオンラインではなく現地開催となった場合には、発表に伴う旅費の使用も見込まれる。
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