2023 Fiscal Year Research-status Report
社会的マイノリティへの偏見軽減要因の探索 無関心という壁を越えるために
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19K02191
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
玉利 麻紀 (平井麻紀) 高知県立大学, 社会福祉学部, 助教 (80573154)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 障害理解 / 共生 / 対話 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、精神障害者や発達障害者等のマイノリティが「生きている本」となって地域住民と直接対話を行う「Human Library」や「にんげん図書館」の企画に携わり、参加者や「生きている本」へのアンケートやインタビューを行うことができた。具体的には、8月に北海道砂川市における「にんげん図書館(主催:任意団体いそのさんち、一般公開)」、10月に高知県高知市における「にんげん図書館(主催:高知県立大学 玉利、一般公開)」、2月には愛知県名古屋市における、4団体合同の「Human Library(主催:ヒューマンライブラリーのつどい)」が行われ、メインスタッフとして企画、立案、実施に携わった。
研究成果については、第22回日本精神保健福祉士学会学術集会での口頭発表、高知県立大学学内誌への投稿により、発表した。未発表分の成果については、引き続き、2024年度の学術集会、および、論文投稿により発表する予定である。
2023年度は学生39名を対象とした感想分析の結果を発表した。結果からは、精神障害者や発達障害者等のマイノリティとの直接対話企画は学生にとって衝撃的な体験となり、当事者視点での病気や症状、生活の学びや、一人の「人」としての「本」への関心につながっている可能性が示された。また、学生自身の自己覚知に関する記述も多く認められた。したがって、精神障害者や発達障害者等のマイノリティとの直接対話企画は、学生の養成上、有意義な影響を与えることが示唆された。一方で、制度面の活用等に関する記述は少なく、この活動の限界や活用タイミングについて踏まえる必要がある点も示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で実施できなかった直接対話企画が、複数回、実現できたのが今年度の最も大きな成果であると考えている。また、他大学や他団体との協働が始まり、高知市内での実施に留まらず、北海道砂川市、愛知県名古屋市での実施につながった。これは予期していない大きな展開であった。
ただし、他大学等との協働が始まったばかりという事情もあり、アンケート調査に関しては、3回の直接対話企画を実施したうち、高知市内の回のみの回収となった。協働する相手も大学教員、地域活動を展開している当事者団体、障害福祉サービス事業所等、バリエーションがあるため、今後は研究に関する協働や合意形成が必要であると考えている。それに伴い、研究計画を柔軟に変更する必要が生じている。今後は直接対話企画の地域活動としての展開に関する計画を加える形で、研究計画を変更する。さらに、研究成果の発表も始めたところであるが、発表のスピードを上げることや、より多くの人の目にふれる論文雑誌へ投稿していくことが課題となる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、これまでのデータの分析と発表を行うことを中心に進めたいと考えている。そのため、論文の英訳等に経費を支出する予定である。また、研究計画を立て直す必要も生じている。その理由は下記の通りである。 【現在までの進捗状況】でも述べたが、2023年度は他大学や団体等との協働が始まった。そして、マイノリティとの直接対話企画に、地域共生社会を目指す「地域活動」としての展開が見える、新たな機会につながった。この方向性は社会福祉の観点からも、地域住民のマイノリティへの偏見や無関心という壁を超えるためにも、大きな意義があり、研究フィールドを当初の研究計画である「大学」から、地域へと変更する価値はあると考えられる。 一方で、協働する相手も大学教員、地域活動を展開している当事者団体、障害福祉サービス事業所等、バリエーションが広がり、研究計画の変更や、研究に関する協働や合意形成の必要性が生じている。 したがって、今後は直接対話企画の地域活動としての展開に関する計画を加える形で、研究計画を変更する。そして、北海道等で実施する他団体の直接対話企画における影響や効果について、研究者の立場として参加・協力できるようにしていきたい。また、可能であれば、高知市内においても、新たな計画を実施していくことも視野に入れていく予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度から2022年度、コロナ禍における研究計画の大幅な変更により、備品の購入等に変更が生じ、繰越経費が生じたことが一つの要因である。また、2023年度からの研究の展開により、研究フィールドが高知県だけではなく、北海道等、他県にも広がったため、旅費を追加して積算する必要が生じている。 次年度は、これまでのデータの分析、追加調査、高知県外におけるフィールドワーク、可能であれば、高知県内での調査、学会発表や論文での発表、等を計画している。そのため、研究協力者へのインタビューや、インタビュー内容の文字起こし等の研究サポートへの謝金が発生する予定である。また、スケジュールの関係で、海外学会への参加は見合わせるが、その分を国内旅費や論文の英訳化等に使用していく予定である。
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Research Products
(3 results)