2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K02196
|
Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
田中 喜美子 東京福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (50823655)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 参加 / 地域精神保健クラブハウス / 意思決定 / 仕事 / コミュニティ感覚 / 自由 / 平等なつながり / ウェルビーイング |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究成果は3つある。第一に、COVID19パンデミックの影響もあって次の研究段階であるデータ収集を急がず、論文の執筆にじっくり時間をかけて完了したことが最も大きな成果である。昨年度までに欧米で収集した質的データのグランデッド理論的アプローチによる分析に基づき、「参加」という概念を、地域精神保健サービスの一つのモデルであるクラブハウス(データ収集場所)の文脈で、2x3次元モデルとして概念化した。その結果を、学術論文(英文)として完成させ、国際学術雑誌に投稿した。記事の内容は、下記のキーワードで反映されるもので、現在査読中である。4人の海外研究協力者との共著なので完成までに、予期以上のかなりの時間を要したが、この概念化がしっかりしていないと研究目的である尺度の質が致命的となるので、その点納得できる仕事ができたと思う。現在、この概念化に基づき、初期尺度項目を米国の研究協力者とともに作成している。第二に、質的データ分析から項目作成に至るプロセスについて詳しく書かれた文献は少ないことに気がついたので、この点に関して方法論の論文を書くに値するであろうことがわかった。第三に、もう一つ別のテーマ(人の変容を促進する決定的な要素な何か)のもとに分析が完成し、結果の章も完成できた。ただ、この論文を完成する前に、このテーマに関する文献レビューを1つの論文として出版(共著)した方が良いので、現在米国の協力者が第一著者としてその論文の作成を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
第一の理由は、COVID19のパンデミックに対応するために、まず欧米でのデータに基づく論文2報を先に執筆することにしたが、予定より海外協力者との共同作業である質的分析や執筆に時間がかかったことと、その論文に基づいて実施している尺度項目の生成が研究代表者にとって初めての経験でしかも尺度化する概念がやや複雑であるために、予定したよりも時間がかかっている。以上の二つの理由から、尺度開発の次のステップに移行するのに遅れをとっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在米国研究協力者との共同作業で進行中の初期尺度項目の作成が完成すれば、英国の研究協力者からフィードバックをもらい、合意に達したら、それを日本語に翻訳する。次に日本から質的データを収集して、日本語に翻訳された項目と比較検討して、項目の文化的整合性を検討・調整する。その後は、残りの尺度開発段階(エキスパートパネルによる内容妥当性評価・予備質問紙調査・本調査による統計的信頼性・妥当性の評価)へと進む。
|
Causes of Carryover |
COVID19パンデミックへの対応として日本でのデータ取集を遅らせ、その代わり欧米で集めたデータを基にした論文を予定より早く投稿することにしたが、質的データ分析に基づく概念化の作業は予想したよりも時間がかかった。また、その概念化に基づき、尺度の項目の作成に予定通り取りかかることはできたが、それも予想以上に時間を要する作業となった。したがって、日本でのデータ収集のために必要な費用を年度内に使うことができなかった。
|
Research Products
(2 results)