2022 Fiscal Year Research-status Report
Building a end of life care for persons with dementia-comparing Japanese and Swedish approach-
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19K02204
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
市瀬 晶子 関西学院大学, 人間福祉学部, 准教授 (50632361)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 認知症の人のエンド・オブ・ライフケア / ケアの文化 / スピリチュアリティ / スウェーデンの高齢者福祉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、認知症と共に生きていくことをある種の文化を学び、作り出していくことと捉え、認知症と共に生きていくための文化(人々の間で共有されている意味のシステム)を明らかにし、エンド・オブ・ライフケアを構築していくことを目的としている。2022年度はスウェーデンで1)認知症高齢者のための特別住宅であるAグループホームでの関与観察と2)A特別住宅が位置するBコミューン(基礎自治体)の認知症ケア、高齢者福祉システムを明らかにする調査の2つのレベルで調査を行った。 A特別住宅では3月7日より8月31日まで、計205時間の関与観察を行った。そして、この関与観察の間に、入居者である高齢者6名、入居者の家族6名、スタッフ12名へインタビューを行った。またA特別住宅との比較のため、C特別住宅で准看護師をフォローし13時間の関与観察、D特別住宅の訪問とインタビュー調査、別のコミューンにあるE特別住宅の訪問とインタビュー調査を行った。その他、70歳以下の認知症の人を対象としたデイケア、70歳以上の認知症の人を対象とした通常のデイケアの訪問調査も行った。 また、Bコミューンの高齢者福祉、認知症ケアのシステムを明らかにするために、B市の高齢者福祉部門の元責任者、社会・ケア運営管理部門の現責任者と現職員ら、市の機関である認知症センターの所長と職員らにインタビュー調査を行った。 調査の結果はまだ分析中であるが、A特別住宅での関与観察から、記憶障害、失認、失行の進行にともなって、喪失を処理可能感によって、ストレスを把握可能感によって対処し一貫性の感覚を保つことはできなくなるため、認知症と共に生きていくためには、認知能力によって一貫性の感覚を保つことから、超越した存在との関係性の中で自己の一貫性を見出すことへ移行していくことが必要なのではないかと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
交付申請書では、2022年度は調査で得られたデータにより、「認知症の人のエンド・オブ・ライフケアとは何か」を明らかにする計画であった。しかし、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、調査の開始を2020年4月から2022年3月に延期せざるを得なくなり、調査期間も一年の計画であったが半年への短縮を余儀なくされたため、進捗状況は遅れている。ただし、2022年3月から9月初めまでスウェーデンに渡航することができ、上記のA特別住宅での関与観察の調査とBコミューンでの認知症ケア、高齢者福祉のシステムの調査を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は協力研究者とともに、調査で得られたデータを分析し、本研究で得られた知見を国内外の学会で報告するとともに、海外の専門誌にも投稿し、論文として公表していきたい。
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Causes of Carryover |
交付申請書では、2022年度は調査で得られたデータにより、「認知症の人のエンド・オブ・ライフケアとは何か」を明らかにし、その知見を国内外の学会で報告する計画であった。しかし、前述のように調査の実施、分析、研究のまとめが遅れたため、国内外の学会に参加する経費の支出がなかった。2023年度は協力研究者とともに国内外の学会で研究報告をするための経費などに支出する予定にしている。
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