2020 Fiscal Year Research-status Report
高齢者のボランティア活動における「楽しさの共有」に関する研究
Project/Area Number |
19K02215
|
Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
村社 卓 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (80316124)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 高齢者 / 孤立予防 / たのしさ / ボランティア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高齢者の孤立予防に関わる高齢者のボランティア活動における「楽しさの共有」の構造を明らかにすることである。高齢者の社会的孤立には、特に予防活動の現場において多くの高齢者ボランティアが関与している。その場合、活動継続のカギは活動メンバーや参加者との「楽しさの共有」にある。 しかし、ボランティアのみによる「楽しさの共有」は困難であり、コーディネーター等による支援が必要となる。研究項目は3点である。①日本において、大都市で高齢者の孤立予防に関わるボランティア活動(コミュニティカフェ等)を対象に、定性的・定量的データを収集・分析し、活動を通しての「楽しさ」について、関係者による「共感」「支持」の観点から明らかにする。②韓国においても同様の調査を実施する。③上記のデータ分析を通して得られた知見について、欧米の先進的な知識との比較検討を行い、超高齢社会に最適な東アジア型ボランティアモデルの基礎資料とする。 上記の研究計画を踏まえ、本年度は村社卓(2020)『たのしくつながる高齢者の孤立予防モデル』(川島書店)として、その研究成果を発表した。たのしいこととつなぐことは、高齢者の孤立予防を実現する推進力である。たのしくないと人は参加しない。参加しても継続は困難である。また、必要に応じてサービス利用につないでもらえるシステムは、多くの人にとって魅力的である。本書では、このことを大都市におけるコミュニティカフェの実践分析を通してモデル化している。高齢者がたのしくつながるには、参加とサービス利用を促す関係づくりが前提となる。関係づくりには、「支援者」だけでなく媒介機能を担う「媒介者」とその「協力者」が必要となる。本書は「介護予防・日常生活支援」の展開が期待されるこんにち、ソーシャルワーク実践に「媒介者」および「協力者」への注目とその積極的な活用を提案している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は,研究項目①である、日本において、大都市で高齢者の孤立予防に関わるボランティア活動(コミュニティカフェ等)を対象に、定性的・定量的データを収集・分析し、活動を通しての「楽しさ」について、関係者による「共感」「支持」の観点から明らかにすることを行った。具体的には、基礎作業として「カフェ」内部における支援関係を明らかにした。この支援関係の明示は、「楽しさ」を関係者による「共感」「支持」の観点から明らかにする上で重要な作業である。そして、その研究成果は、村社卓(2020)『たのしくつながる高齢者の孤立予防モデル』(川島書店)として発表することができた。このように、研究項目①に関しては順調であった。しかし、研究項目の②である「韓国においても同様の調査を実施する」に関しては、今年度も、日韓関係の悪化、さらには新型コロナウイルスによる韓国への継続的な渡航禁止により、実施されていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究項目①の「日本において、大都市で高齢者の孤立予防に関わるボランティア活動(コミュニティカフェ等)を対象に、定性的・定量的データを収集・分析し、活動を通しての『楽しさ』について、関係者による『共感』『支持』の観点から明らかにする」に関しては、著書(村社2020)として研究成果を発表するなど、順調に作業が進んでいる。そのため、そのまま作業を継続する予定である。しかし、研究項目②の「韓国においても同様の調査を実施する」に関しては、現段階では困難である。したがって、調査方法の変更、あるいは新型コロナウイルスの影響の少ない他国における調査への変更など、最終的な目的である「超高齢社会に最適な東アジア型ボランティアモデル」作成に向けて、計画の再検討を行う必要がある。
|
Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウイルスの影響で、昨年度よりもさらに、韓国での調査および国内での調査(特に東京地区)が、移動困難等のため実施できなかった。
|
Research Products
(3 results)